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一生を賭ける仕事の見つけ方
【第6回】 2016年9月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
斎藤祐馬

会社にいても「やりたいこと」はできる!
500社・数千人の事例からわかった
自分も会社も100%の力を出す2つの方法

「会社から給料をもらっているのに、自分のやりたいことをやれるわけないじゃないですか」
『一生を賭ける仕事の見つけ方』で繰り返し語られる、「会社のなかでも、やりたいことを実現できる」というメッセージに対して、必ず返ってくる質問がこれだという。
起業家の登竜門「モーニングピッチ」発起人にして、自らも逆風のなか会社のなかでやりたいことを実現した著者・斎藤祐馬氏は、この質問に対しても明確に「ノー」と言い、「個人と会社との間でWin-Winの関係をつくる方法はある」と断言する。起業家だけではなく、企業のなかで奮闘する「イントレプレナー(社内起業家)」を500社で数千人も見てきた斎藤氏が語る、2つの道とは? 著書への質問に最速で答えた、緊急インタビュー!(構成:編集部 廣畑達也)

会社にいながら「やりたいこと」を実現するのは、
本当に可能なのか?

――「自らのミッションを見つけ、それを仕事にしよう」。斎藤さんは著書のなかでそうおっしゃっています。ところが実際には、日々の業務に圧倒されたり、会社によっては提案できる状況になかったりと、大多数の「組織人」には、実現が難しいのではないでしょうか?

斎藤 最初は、みなさんそうおっしゃいます。僕が「自分だけのミッション」をベースに、仕事を、もしくは新規事業をつくっていきましょう、と伝えると、企業に属する方の9割は、「会社から給料をもらっているのにできるわけない」「会社の方針と自分のミッションが揃うことなんてあるはずがない」といったリアクションをされます。

――それは、組織にいながらやりたいことを実現することは難しいことだ、という証左になりませんか?

斎藤 いえ、むしろ逆だと、僕は思っています。多くの人が言う「常識」には、「本当にそうだろうか?」と問うべきポイントがあると思います。

「自分のミッション」と「会社のミッション」を合わせる2つのルート  <拡大画像はこちら>

 一般的な組織人、企業に属するビジネスパーソンで考えてみましょう。右側の図を見てください。

 数多くの組織人を見てきましたが、通常、「本人がやりたいこと(自分のミッション)」を3割、「会社が求めること(会社のミッション)」を7割といったところで折り合いをつけている人が最も多い(図の■のポイント)。しかし、会社にとっても個人にとっても満足できるWin-Winなベストポイント(★)こそ、本来目指すべきポイントのはずです。なぜなら、そこに到達して初めて、個人が最大限のパフォーマンスを発揮し、会社としても大きなインパクトを生むことができるからです。

――たしかに、「会社のミッションはこうだから」と妥協するような考え方では、個人としてもベストパフォーマンスを出せない、というのはわかる気がします。ただ、そうは言っても、Win-Winを実現するのは難しいように思います。何か方法などはあるのでしょうか?

斎藤 ご指摘の通り、いきなりベストポイント(★)に到達しようとしても、なかなか行けるものではありません。ただし、到達するための「2つの道」は存在します。僕たちが見てきた500社・数千人の組織人たちを分析しても、そのどちらかでベストポイントにたどり着いています。

 まず1つ目は、自分のミッションに、会社の理解・協力を呼び込んでいく道です。図で言うと、▲から★に至る赤線ルートになります。

 僕自身、トーマツという大企業に属しながら、自分のミッションである「ベンチャー支援」を仕事として認めてもらうまでに辿ったのは、このルートでした。平日夜と土日に手弁当で始め、少しずつ数字を出し、やがて休眠していたトーマツベンチャーサポートという会社の再起動、というチャンスにギリギリで飛びつき、今につながっています。途中、監査という王道の仕事から逸れていく僕に対して、社内からは厳しい声があがることもありました。それでも、会社のミッションとのベクトル(方向性)と合わせて実績を積み、★にたどり着きました。

 他の例では、ある大手メーカーのA氏が挙げられます。A氏は、異端児と呼ばれながらも新製品の立ち上げにチャレンジしつづけました。当初は社内でも笑い者だったといいます。しかし、会社の戦略変更で一気に重点領域に引き上げられ、一躍時の人に。主流派ではなくても、ビジョンとパッションで周囲を巻き込んでいくことはできるのです

――批判ありきだとすると、それはなかなかハードな道のような……。

斎藤 そうですね、そこでもう1つの道が、会社目線の仕事から自分のミッションに寄せていく道です。図で言うと、■から★に至る、青線ルートになります。

 個人的には、まずはこの2つめの道を目指すのがいいと思います。自分のミッションをベースに小さく始めて、まわりを巻き込んでいく。3割くらいは自分のやりたいことをやりつつ、7割くらい会社の期待に応えている、そんな状態(■)からWin-Win(★)に持っていくことを目標にするといいと思います。

――なるほど、目の前の仕事にしっかり取り組んで会社からの信用を築きつつ、徐々に自分のやりたいことのほうへベクトルを合わせていく、ということですね。

斎藤そうして築いた信用は、いずれミッションへの舵を切るときに必ず「武器」になります。ある大手メディアの経営企画に属していたB氏は、普段の仕事で得た信用や実績を武器に、ベンチャー投資ファンドの立ち上げを手掛けるなど、自分のミッションへと舵を切りました。その後は、社長直下のMA部隊で大活躍しています。会社への貢献度を高く保ちつつ自らのミッションを実現している、まさに★の位置にいるといえます。

 どちらの方法で個人と会社がWin-Winとなるベストポイントへと至るかは、取り組む人次第。そしてどちらでも重要となる実績の積み方は、『一生を賭ける仕事の見つけ方』第3章で紹介した「未来のニーズ」を証明する2つの方法、すなわち「マーケットの代弁者になる」「クラウドファンディングの活用」が役に立つでしょう。

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斎藤祐馬[さいとう・ゆうま]

トーマツベンチャーサポート株式会社 事業統括本部長。公認会計士。
1983年生まれ。中学生のとき、脱サラして起業した父親が事業を軌道に乗せるのに苦労している姿を見て、「事業を立ち上げたばかりの起業家を支援する人がいればいいのに」と何度も思い、やがてベンチャーの「参謀」を志す。
2006年、4度目の挑戦で公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入社。会計監査やIPO支援業務に携わるものの、スタートアップ期のベンチャーへの支援ができないものかと悩み、単独でベンチャー支援を始める。
2010年、トーマツ内で休眠していたトーマツベンチャーサポート株式会社(略称TVS)の再立ち上げに参画する。従来の公認会計士の枠には収まらない「ベンチャー支援」という活動に対して当初は理解を得られず、社内からは逆風も吹くが、一つひとつ壁を越え、社内外に仲間を増やし、大きく成長するに至った。現在は、「挑戦する人とともに未来をひらく」というビジョンのもと、国内外で奮闘する100名以上のメンバーとともに、ベンチャーだけではなく、大企業、海外企業、政府、自治体などとも協働し、自らのミッションを生きる日々を送っている。自らの思いを「一生を賭ける仕事」につなげたその経験には、大学、企業、自治体などから講演の依頼が絶えない。
2013年4月より、現在は「起業家の登竜門」と呼ばれるようになった「モーニングピッチ」を仲間とともにスタート。これまでに700を超えるベンチャーの登壇を実現したモーニングピッチは、大企業やベンチャーキャピタル、メディアとの出会いの場をベンチャーに提供する、日本有数のプラットフォームとなっている。


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