週刊ダイヤモンドの取材で判明した販売件数は、07年に3113件、08年に1674件。販売件数が減少した時期でもこれだけの量を売りまくったのだから、累計では数万件以上に達していたと推測できる。そのほとんどが1ドル=100円台の契約と見られるため、中小企業の経営に与える影響はそうとうだろう。

 通貨オプションの最大の問題は、みずほの売り方にある。

 取引を望まない人に訪問や電話で契約を勧める「不招請勧誘」は、金融商品取引法で禁止されている。ところが、例外規定があり、外国貿易や外国為替取引を行う企業への勧誘は認められている。

 みずほは、この「外国貿易」を拡大解釈したと見られる。たとえば、輸入木材を国内の小売り問屋からのみ購入しているある建設業者は、「円安時に輸入材価格の上昇を相殺できる保険的な商品」などといって売り込まれたという。

 契約時に説明義務を十分に行っていないケースも多い。経営者たちから聞こえてくるのは、「円高になるとリスクが急増するなんて説明されていない」「解約時に多額の違約金が発生するなんて聞いていない」などの怒りの声である。

 みずほは「商品を理解できない人には売っていない」と主張するが、前述のような経営者の声が小さくないのは事実である。

 なかには明らかな問題事例もある。07年に契約したある輸出企業。社長はくも膜下出血を複数回、起こし、その後遺症で判断能力が低下していた。にもかかわらず、「円高による為替リスクを回避するため」という事実に反する名目で通貨オプションを販売した。

 優越的地位の濫用の可能性を指摘する声もある。

 通貨オプションを契約した中小企業の多くはみずほの融資先だ。ある経営者は「数千万円の融資を申し込んでいる時期に話を持ちかけられたので断れなかった」と嘆く。取引がない企業に対しても、融資や融資枠を持ちかけた後に、通貨オプションの契約をするケースが散見されている。

 日本共産党の大門実紀史議員は「みずほの販売方法には法令違反と思われるケースがいくつもある。金融当局は行政処分も検討すべきだ」と指摘する。