販売実態は他行も同様
企業破綻が急増の恐れ

 通貨オプションのトラブルは、みずほのケースが目立つものの、他行とて販売の実態は同じようだ。

 西日本のある商社は、大手3行などから「営業マンがノーアポで毎日のようにやって来て、“手数料はゼロなんだから契約してくれ”と言われ、押し切られてしまった」と悔やむ。

 悔やんでも悔やみ切れない企業も少なくない。今年6月に倒産した、キャラクター商品製造のアイ・ティ・ディ。本業は堅調だったが、「通貨オプションで巨額損失を被り、運転資金や借入金返済のメドがつかなくなった」(同社資料)。

 販売したのは、三菱東京UFJ銀行、みずほ、りそな銀行、東京都民銀行、商工中金の5行である。取引銀行との関係を円滑に保つ必要から、勧められるままに契約したという。

 契約企業の多くは本業が黒字の企業だ。だが、リーマンショック以降の景気低迷と円高の進行により、通貨オプションが原因の倒産が増え始めている。

 帝国データバンクによれば、通貨オプションなどの為替デリバティブが原因の倒産は、08年は3件だったが、昨年は9件、今年はすでに15件に上る。さらに「潜在的には数百社が危機的な状況にあるのではないか」(藤森徹・帝国データバンク情報統括部長)という。

 また、事情に詳しい本杉明義弁護士の元には、「今年に入って中小企業からの相談が急増し、すでに約100件に上っている」。

 金融庁は今年4月、金融商品の契約などにかかわる監督指針を見直したが、遅きに失したと言わざるをえない。通貨オプションで苦境に喘いでいるのはいずれも過去に契約した企業だ。早急に、実態調査と対応に乗り出さなければ、今後、経営破綻が急増する可能性は高い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

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