11月は、それまで数ヵ月間続いてきた米ドル安が、対円でも、対ユーロでも米ドル高へと転換しました。

 この米ドル高ですが、私は最近、意外に長く続くかもしれないと思っています。

 しかし、対円などでの米ドル安基調が完了したわけではないとも思っているので、米ドル高から米ドル安にトレンドが転換するタイミングも慎重に見極めなければならないと考えています。

追加緩和決定後の金利とドルの動きは前回と似ている

 まずは、米ドル/円についてです。

 米ドル/円と米国の長期金利(10年もの国債の金利)のグラフを重ねると、米長期金利が11月に入って急上昇する中で、それを追いかける形で米ドルの反発が広がってきたことがわかります。

 その意味では、「米ドル安・円高」から「米ドル高・円安」への転換をもたらしたのは米国の金利上昇です。

 したがって、この「米ドル高・円安」がいつまで続くかは、米国の金利上昇がいつまで続くかが、大きなカギを握っているということになりそうです。

 さて、その米国の金利について「資料1」をご覧ください。

 今回の米国の金利上昇は、11月初めのFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加の量的緩和、すなわち、米国債購入などが決まった直後から始まっており、「資料1」では赤の折れ線で示しています。

 この動きは、もう1つの黒の折れ線とほぼ重なって推移してきたのがわかってもらえると思います。

資料1

 それでは、この黒の折れ線は何かというと、2009年3月に行われたFOMCで1回目の量的緩和が決まった直後からの米国金利の動きです。

 FOMCで2回の量的緩和が決められたわけですが、その直後から米国金利が上昇に向かったという動きは、これまでのところはとてもよく似ています。

 したがって、この先も似たような展開が続くならば、米国の長期金利は12月前半にかけては横ばいとなるものの、来年2月にかけては一段と上昇に向かうという見通しになります。

 そして、米国金利と米ドルの相関関係がこの先も続くならば、米ドル高が2月にかけて続くことになりそうです。

調整局面が4~5ヵ月続き、10円以上円安になる可能性

 次のデータも、「米ドル高・円安」が意外に長く続く可能性を感じさせるものです。

 「資料2」は、2007年6月から展開してきた今回の「米ドル安・円高」トレンドのグラフであり、これを見ると、今回の「米ドル安・円高」が大きく「1~4幕」になっていることが読み取れます。

 その中での調整局面は3回ありましたが、いずれも4~5ヵ月で10円以上の「米ドル高・円安」となっていたのです。

資料2

 もし、今回が4回目の本格的な調整局面だとして、それが過去のパターンに近い形で展開するならば、「米ドル高・円安」が12月に85円を大きく越えられず、さっさと終わるといったことにはならないわけです。

 読者のみなさんの中に、11月から始まった「米ドル高・円安」が越年し、90円に迫ると予想している人はどのぐらいいるでしょうか?

 これまで見てきたことからすると、そのようになる可能性もありそうなのです。

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