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セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問 鈴木敏文

鈴木敏文氏、異能の経営者が語る「ものの考え方」の極意

鈴木敏文 [セブン&アイ・ホールディングス 名誉顧問]
【第4回】 2016年9月26日
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Photo:Masato Kato

変化に対する仮説と検証の重要性をさまざまな角度で見せてくれた鈴木敏文・セブン&アイホールディングス名誉顧問の連載。その根底にはなにがあるのか。異能の経営者の「ものの考え方」に迫った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 深澤 献)

数多くの反対意見が出たときに
私はどう乗り越えたか?

――鈴木さんは90年代前半にご自身で立ち上げた、企業人向け勉強会「21世紀研究会」の会長を務められており、会にはニトリの似鳥昭雄社長や、ユーグレナの出雲充社長のような若い企業家もいます。そこでは、どんなお話をされているのですか。

鈴木 基本的には、「世の中の変化を見つめろ」ということ。それを僕の経験などから話しています。その上で、「今の自分がやっている仕事の延長でものを見てはいけない」と繰り返し伝えている。

 例えばセブン-イレブンは、「日本では小さな店は成り立つはずがない」と言われたが、実際にやってみたら、またたく間に伸びていき、今では社会インフラになってしまった。だからインフラというのは、それがあるからインフラなのではなく、無のところからでも環境がどう変わるかという見方をしていけば創り出せるのです。そういうものの見方をしていかなければ、強い企業は作れない。

 よく「鈴木さんの真似などできない」などと言う人がいますが、私は決して予言者じゃない。ただ、変化を見極めて、仮説と検証を繰り返してきただけです。過去の延長で現在や未来を考える方が、無理があるわけだから、よほど難しいことでしょう。

――研究会のメンバーは十分な実績を持っている経営者たちばかりです。それでもなお鈴木さんのお話に刺激を受けているのですね。

鈴木 まぁお世辞も含めててでしょうが、「参考になる」と言ってくれるね。

 要するに、世の中には視点を変えればできることがたくさんあるのです。例えばアイワイバンク銀行(現セブン銀行)立ち上げにしても、「これだけ銀行があるのに新しく創るのは大変だ」「素人ができるわけがない」と誰もが言った。当時の主力銀行頭取は、心配をして自ら会いにきてくれ、「鈴木さんに失敗させるわけにはいかない。止めた方がいい」とおっしゃいました。しかし私は単に、視点を変えて、24時間利用できる決済だけの銀行を作りたい。そう考えただけです。

――鈴木さんのお話を伺っていると、セブン-イレブンの創業はもちろん、新商品として出したおにぎりや銀行サービスなど、新しいことに挑戦するときに、「周囲から無理だと言われた、反対された」という経験がたくさん出てきます。GMSのカリスマだったダイエーの中内功さんもそう言ったというし、銀行の頭取からも反対された。業界のプロにそう言われて、ひるまない強さはどこから来るのでしょう?

鈴木 私はそうした時、自分の内側に、よくよく問いかけます。「彼らの言い分は正しいか、それとも自分の考えに理があるか」とね。セブン銀行のときには、主力銀行の頭取のお話をよく伺っていると、どうやら「中小企業融資なども含めた、既存の銀行業」をイメージしておられたようでした。しかし、僕はそんなことをやりたかったわけじゃない。引き下ろしや振込などをコンビニでできるようにしたかっただけです。

 であれば、心配してくれるお気持ちはありがたく受け止めるけれど、僕が自分の歩みを止める必要はない。そんな風に考えたね。

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鈴木敏文 [セブン&アイ・ホールディングス 名誉顧問]

1932年長野県生まれ、中央大学経済学部卒業後、東京出版販売(現トーハン)を経て63年イトーヨーカ堂入社。73年にセブン-イレブン・ジャパンを設立。2003年イトーヨーカ堂およびセブン-イレブン・ジャパン会長兼CEOに就任。05年セブン&アイホールディングスを設立し、会長兼CEOに就任。16年同名誉顧問に就任。

 


セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問 鈴木敏文

イトーヨーカ堂に入社後、セブン-イレブンを立ち上げ、日本一の流通グループを育て上げた「流通最後のカリスマ」が経営の一線を退いて4カ月。データを細かく分析し、仮説を立てて検証していくことで、変化著しい日本人の購買動向に対応し続け、常に抜きん出た結果を出してきた鈴木氏に、自身の経営論を語ってもらった。

「セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問 鈴木敏文」

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