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高橋洋一の俗論を撃つ!

シニョレッジ(通貨発行益)を見落としている
量的緩和「懐疑論」の誤り

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第2回】 2010年12月2日
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 今回は、前回のコラム「ようやく世界標準の政策を採った日本銀行 量的緩和は物価・景気にこうやって効く」の続編だ。

 量的緩和懐疑論は、印象論的なものが多いが、きちんとしたものでも、その主張はゼロ金利下では日銀による国債の購入は効果がなく、その他の金融資産の購入であれば、多少の効果はあるという程度だ。

 その前提となっているのは、量的緩和しても貸し出しが伸びない状況では、「ブタ積み」(注)になってしまうだけで、貸し出しは伸びないというものだ。(注:金融機関が、日本銀行に預け入れる無利子の預金のことを預金準備または準備という。法律で自金融機関の預金の一定比率以上を預け入れることが定められており、この比率を超える超過準備のことを俗にブタ積みという)

 それを理論的に考えてみると、量的緩和しても、バランスシートの基本論からいえば銀行の資産側の貸出は負債側の預金と連動するという意味で、表裏一体である現金+預金というマネー・ストックが増えないということをもって、量的緩和に懐疑的であるようだ。

量的緩和で政府、中央銀行、民間銀行の
バランスシートはどう変化するか

 そこで、量的緩和の効果をミクロ的にみるために、政府、中央銀行、民間銀行のバランスシート(B/S)の変化として、まとめてみよう。

まず、はじめの状態が図1だ。

(注)国債Ⅰは日本銀行が保有する国債、国債Ⅱは民間銀行が保有する国債を表す。
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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。

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