USJはなぜ「上場廃止」でジリ貧から大復活できたか「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」の成功は、USJの上場廃止なくしてもたらされなかっただろう  Photo:DOL

 今年最大規模の上場案件となるUSJの再上場を報じるニュースが話題だ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイが、東京証券取引所への株式の上場を検討しているというのだが、実現すれば時価総額は数千億円規模になると見られ、投資家の注目を集めている。

 同じく再上場を狙うのがインターネット調査大手のマクロミル。こちらも再上場が実現すれば1000億近くの大型案件になりそうだと注目されている。

 どちらの会社も上場廃止をきっかけに、成長に向けた投資を行い、それに成功して以前よりも業績を伸ばしたうえでの再上場を目指している点が共通している。なぜそのような選択をしたのか?そしてその選択は、企業戦略としてどのような意味を持つのか?整理してみよう。

USJの再上場から考える「上場廃止」の意味

 両社に共通していたのは、上場廃止時点で、収益はともかく将来の成長が鈍化していたという点である。

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは2001年の開業初年度に1102万人のゲストが来場し、好調にそのスタートを切ったのだが、翌年は764万人と来場者数は減少。3年目以降少し持ち直すが、2006年度の870万人から再び来場者数は毎年減少傾向に入る。2007年にマザーズ上場し、2009年に上場廃止をする頃には来場者数は800万人まで減少し、ジリ貧とも思える状況に陥っていた。

 運営会社のユー・エス・ジェイが2007年にマザーズ上場した際には最終損益が初の10億円の黒字となっていたのだが、これは2004年、2005年と新規採用を行わず、依頼退職も導入して費用削減を図った結果であった。

 このように来場者数が減少する中で費用を削減して黒字を出そうとすれば、どうしても業績は縮小均衡へと向かう。黒字になったといっても、株式市場の投資家はさらなる利益の成長を期待している。それを費用削減で達成するというのは、長期的に見れば無理がある状態だった。