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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

ダイキンの仮想敵がグーグルやアップルになる理由

十河政則・ダイキン工業社長兼CEOに聞く

週刊ダイヤモンド編集部
2016年10月3日
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2008年秋のリーマンショック直後の2期を除けば、再び業績が右肩上がりとなった“2兆円企業”のダイキン工業。この6月に、5年後の「ありたい姿」と3年後の必達の数値目標を掲げた新中期経営計画(FUSION20)を打ち出した。FUSIONとは、中期の目標と短期の実行の融合を意味する。就任して丸5年が経った節目に沈黙を破った十河政則社長兼CEOに、根底にある問題意識から6期連続増収増益でも浮かれていられない危機感までを直撃した。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

――今年の5月中旬に「ダイキン工業とパナソニックが、エアコン事業で包括提携」との報道がありましたが、両社はもともと提携関係にあったはずです。

とがわ・まさのり
1949年、北海道池田町生まれ。小樽商科大学商学部を卒業後、地元の金融機関への就職を希望せず、大阪のダイキン工業に入社。以来、一貫して人事・労務・総務・秘書畑で経験を積む。2002年6月、取締役に就任。07年10月、取締役兼専務執行役員。11年6月、代表取締役社長兼COO。12年6月に代表取締役社長兼CEOに就任し、現在に至る。趣味は歴史小説からIT関連までの読書とワイン(ただし、社長になってからは量を減らしている)。Photo:Satoru Oka/REAL Photography

 ええ。1999年以来、旧松下電器産業(現パナソニック)とダイキン工業は、「空気調節機器」(空調)で包括提携を結んでいます。当時は、一般家庭向けのエアコンに強かった彼らと、業務用のエアコンに強かった私たちには相互補完性がありました。実際、両社で共同開発センターを設立し、部品を一緒に調達したり、製品を相互に供給したりして可能性を模索してきました。

 ところが、09年にパナソニックが三洋電機を買収し、状況が少し変わりました。彼らの商材に業務用の冷凍・冷蔵設備が加わったことで共同開発のテーマが見つけにくくなり、近年は“休眠状態”にありました。実は、私も気にしていましたので、パナソニックで大規模リストラが一段落した15年の5月というタイミングを待って、私から津賀一宏社長に再開を持ちかけました。

――事実上の休眠状態だったことから、15年の秋には「提携解消説」が急浮上しましたね。なぜ、改めて、提携関係を深化させようと考えたのですか。

 時代が大きく変わっていることが挙げられます。今後は、「空調」という狭い分野に限定せず、「もっと枠を広げて考えませんか」と提案をしています。

 というのも、今では両社が協業できる機会が増したからです。例えば、ダイキン工業は、12年に“空調機器、発祥の地”である北米市場で、一般家庭向けのエアコンで首位のグッドマン社を買収し、日米間で異なる2つの空調機器と技術を手に入れました。日本で主流の「ダクトレス式」(部屋を個別に冷やす)と、米国で主流の「ダクト式」(屋内全体を丸ごと冷やす)のことです。

 一方で、パナソニックは、もとより総合エレクトロニクス・メーカーとして、広範な分野で事業を展開してきました。彼らもまた、持てるノウハウやポテンシャルを生かして、新しい製品やサービスを開発しようとしています。今回、津賀社長とトップ同士で問題意識を話し合えたことから、その後は再び協働が動き出しました。「空調」だけで考えると、ライバル同士になってしまいますが、「空調に限らず」となれば、ぐんと可能性は広がります。現在は、両社でアイデアを持ち寄り、新しい共同開発のテーマを絞り込んでいる段階にあります。

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