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凋落日の丸家電が「甘えの構造」から
抜け出すための最終提言

嶋矢志郎 [ジャーナリスト]
2016年5月13日
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日本のお家芸だった家電が
なぜ外資に飲み込まれるのか?

外資に飲み込まれる日の丸家電、その根底に残る「甘えの構造」とは?

 日本の家電業界の凋落が目立っている。「世界の奇跡」とも言われた戦後日本の高度経済成長を牽引し、国際社会からも日本の国際競争力の強さを象徴する「お家芸」として認められてきた花形産業の老舗企業が、なぜ次々と外資に、それもアジア系外資に飲み込まれていくのか。

 家電業界をめぐる経営環境がグローバル化とイノベーションの2つの荒波に晒されていながら、国内市場でしか通用しない、いわゆる「ガラパゴス化」状態に甘んじてきた経営体質が大局観を見失わせ、先見性を狂わせて、熾烈な国際競争を勝ち抜くための有効で機敏な経営戦略を打ち出せずに来たことが、凋落傾向の直接の主因と思われる。家電の主役が日本勢からアジア勢へと交代を余儀なくされてきたのも、必然の結果と言って過言ではない。

 なかでも気がかりなのは、右顧左眄型の横並び志向や「皆で渡れば」式の協調体制の淀みが、日本の家電業界の底流に長年浸みついているように見える点である。過去には、上層部が本務を蔑ろにしてまで出世争いにうつつを抜かすなど、目に余る人事抗争に明け暮れてきたケースもある。

 こうした見えざる「しがらみ」の呪縛からか、相互に企業序列を守り合う「甘えの構造」が今なお根強く横たわっているように感じられる。これが国際的な構造変化への臨機応変な対応を鈍らせてきた共通の真相であり、深層でもある。このような古い業界体質や企業風土を自らの手で払拭できない限り、家電業界の行方は前途多難に思える。

 液晶への過剰投資が財務体質の悪化を招いて、経営不振に喘いできたシャープは、電子機器を受託生産する「EMS」(Electronic Manufacturing Service)の世界最大手である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ることが決まった。

 鴻海の出資総額は、シャープの業績悪化や将来の負債となる恐れのある偶発債務を勘案して、当初の予定よりも約1000億円の減額で決着した。鴻海グループはシャープの3888億円の第三者割当増資を引き受け、議決権の66%を握った。これは事実上の買収である。日本の主力電機メーカーが外資の傘下に入るのはこれが初めてであり、国際的にも波紋を広げている。

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嶋矢志郎 [ジャーナリスト]

ジャーナリスト/学者/著述業。東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。日本経済新聞社(記者職)入社。論説委員兼論説副主幹を最後に、1994(平成6)年から大学教授に転じ、芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授などを歴任。この間に、学校法人桐朋学園理事兼評議員をはじめ、テレビのニュースキャスターやラジオのパーソナリティなどでも活躍。専門は、地球社会論、現代文明論、環境共生論、経営戦略論など。著書・論文多数。


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