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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

トヨタの「一人勝ち」が国内販売で際立つ理由

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第40回】 2016年10月7日
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4代目となる新型プリウスは8月まで9ヵ月連続国内販売ランキングトップを続けていた Photo:TOYOTA

軽自動車の不振が響く
日本国内の自動車販売

 2016年度上期(4~9月)新車総販売は、230万6282台で前年同期比1.0%減となり4年連続で前年実績を下回った。このうち、排気量660CC以上の登録車は154万6310台で4%増、軽自動車は75万9972台で9.8%減となり、登録車は回復傾向に対し、軽自動車の不振が全体を押し下げている。

 日本自動車工業会は、さきに2016年度(2016年4月~2017年3月)の国内販売見通しを当初予想より約41万台少ない484万5200台と下方修正して発表している。その理由は、来年4月に予定されていた消費増税の延期でその駆け込み需要が見込めなくなったからとしている。

 国内新車販売は、14年4月に実施された消費税引き上げと15年4月の軽自動車税引き上げのダブル増税が響いて市場の低迷が続いてきた。特に、軽自動車が軽自動車税増税で苦戦を強いられていたのに加え、三菱自動車工業の燃費改ざん問題で三菱自はもとより、OEM先である日産の軽自動車販売の停止も影響した。

 ただ、市場実態は自動車各社の新車投入を中心に回復傾向を示しており、登録車については、前年実績を上回る流れを示してきた。問題は軽自動車で一昨年までは国内新車市場全体を押し上げて全体の40%以上を占めたが、今上期の軽比率は33%と過去10年で最低水準にまで落ち込んだ。

 この結果、国内新車総市場におけるトヨタ1強が進む格好となっている。トヨタ自動車は昨年12月に投入した新型プリウスが今年に入り連続してダントツのベストセラーを続けており、トヨタブランドの前年実績を上回る販売の牽引力となっている。軽自動車販売でもトヨタはブランド別で唯一、前年実績を上回り、加えて高級車ブランドのレクサスも同様で国内市場において登録車だけではレクサスを加えると47.7%と5割に近い販売シェアを確保してきているのだ。

より顕著になっているトヨタの強さ
狭まる日本国内市場の位置づけ

 国内市場におけるトヨタの強さがより顕著になっている最近の動向の要因・背景を検証しつつ、自動車市場の回復が国内産業全体に活気をもたらすことができるのか、改めて分析してみた。

 自動車産業はグローバル化の波が進む中で自動車メーカー各社もグローバル戦略を進め、今や母国の日本国内市場の位置づけが狭まってきている。必然的にマーケットが大きく収益性の高い中国や米国への主体的な車種展開の一方で、母国市場の国内新型車投入への力が薄れがちになっている。

 日本国内のモータリゼーション進展期からバブル景気といわれた1990年頃までは、新車市場も右肩上がりで自動車各社も日本市場を念頭に置いた新車開発を展開していた。当時は、米国車・欧州車に追いつき、追い越せとの観点から日本国内市場で伸ばし、輸出も拡大していくとの戦略だった。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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