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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

日産セレナ「2年半ぶりの国内新車投入」で日本市場挽回へ

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第38回】 2016年9月9日
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Photo:NISSAN

2年半ぶりとなる国内新型車
看板車種のミニバン「セレナ」投入

 日産自動車は、実に2年半ぶりとなる国内新型車の投入を機に、日本国内市場で逆襲に転ずるという。

 その期待の星が8月末に日産が発表・発売した看板車種のミニバン「セレナ」の新型車である。この「セレナ」は、ミニバンクラスで世界初となる同一車線自動運転技術「プロパイロット」を採用するなど、最新技術を盛り込んで家族向け需要のテコ入れを目論む。

 日産は長い間、収益性の高い米国・中国市場を重視するグローバル戦略において、国内市場は二の次となっていた。この間、国内販売シェアの低下が続いていた。日産自前の新型車投入がない「エアポケット」の時期が発生し、必然的に三菱自動車が製造して供給する軽自動車の販売比率が高くなっていた。

 さらに、直近の本年度第1四半期(4~6月)は、三菱自の燃費不正問題のあおりを受け、軽自動車の供給が止まった。このため、日産の国内販売は9万台、前年同期比25.4%減でシェアは8.3%と一ケタ台に落ち込んでしまった。

 日産はこのような国内販売の低迷状況を打破すべく、ようやく今回の新型セレナを皮切りに、国内での新車投入計画を進める考えだ。日本市場での営業強化と併せてシェアアップへの巻き返しを狙う。

 時計の針を巻き戻せば、日産は1999年の仏ルノーとの提携以来、ルノーから送り込まれたカルロス・ゴーン体制で復活した。しかし、ホームグランドである国内市場での日産の立ち位置は狭まるばかりだった。それは先述した通り、ゴーン日産のグローバル戦略として、販売が好調で利益率が高く、市場も大きい米国と中国を中心に資源配分することを優先的に展開してきたことによるものだ。

 それでもゴーン日産社長は、日本国内生産において、雇用対応も念頭に置き「年間100万台を維持していく考え」を打ち出していた。また海外市場を重視することで国内販売シェアが低下するという「負のスパイラル」に陥っていた国内販売の立て直しも「焦眉の急」となっていた。

 果たして日産は、母国日本市場での販売シェア挽回と国内百万台生産をキープし、日本の立ち位置を改めて固めることができるのだろうか。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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