Photo:NISSAN

2年半ぶりとなる国内新型車
看板車種のミニバン「セレナ」投入

 日産自動車は、実に2年半ぶりとなる国内新型車の投入を機に、日本国内市場で逆襲に転ずるという。

 その期待の星が8月末に日産が発表・発売した看板車種のミニバン「セレナ」の新型車である。この「セレナ」は、ミニバンクラスで世界初となる同一車線自動運転技術「プロパイロット」を採用するなど、最新技術を盛り込んで家族向け需要のテコ入れを目論む。

 日産は長い間、収益性の高い米国・中国市場を重視するグローバル戦略において、国内市場は二の次となっていた。この間、国内販売シェアの低下が続いていた。日産自前の新型車投入がない「エアポケット」の時期が発生し、必然的に三菱自動車が製造して供給する軽自動車の販売比率が高くなっていた。

 さらに、直近の本年度第1四半期(4~6月)は、三菱自の燃費不正問題のあおりを受け、軽自動車の供給が止まった。このため、日産の国内販売は9万台、前年同期比25.4%減でシェアは8.3%と一ケタ台に落ち込んでしまった。

 日産はこのような国内販売の低迷状況を打破すべく、ようやく今回の新型セレナを皮切りに、国内での新車投入計画を進める考えだ。日本市場での営業強化と併せてシェアアップへの巻き返しを狙う。

 時計の針を巻き戻せば、日産は1999年の仏ルノーとの提携以来、ルノーから送り込まれたカルロス・ゴーン体制で復活した。しかし、ホームグランドである国内市場での日産の立ち位置は狭まるばかりだった。それは先述した通り、ゴーン日産のグローバル戦略として、販売が好調で利益率が高く、市場も大きい米国と中国を中心に資源配分することを優先的に展開してきたことによるものだ。

 それでもゴーン日産社長は、日本国内生産において、雇用対応も念頭に置き「年間100万台を維持していく考え」を打ち出していた。また海外市場を重視することで国内販売シェアが低下するという「負のスパイラル」に陥っていた国内販売の立て直しも「焦眉の急」となっていた。

 果たして日産は、母国日本市場での販売シェア挽回と国内百万台生産をキープし、日本の立ち位置を改めて固めることができるのだろうか。