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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

なぜ中国では「250」という数字を使ってはいけないのか

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第31回】 2010年12月9日
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 マンションの北側の窓に大きく映る新しいテレビ塔、東京スカイツリーが日に日に高く伸びている。12月1日、ついに高さ500メートルを突破した。各メディアがそれをニュースにしたり、500メートルを突破したその瞬間をこの目で確認しようと建設現場の近くに人々が殺到するなどしてなかなか賑やかだった。今後、デジタル放送用アンテナ等が取り付けられるゲイン塔を設置したあと、スカイツリーが最高到達点の634メートルにいつ届くかに人々の関心が集まっている。

 日本が誇りにするこのスカイツリーの最終的な高さは634メートル。外国人にとっては単純な数字にしか見えないこの数字に、日本人、特に東京都民の気持ちが凝縮されている。これは、東京、埼玉、神奈川の一部の地域を指す旧国名「武蔵(ムサシ)」に語呂を合わせたために決められたそうだ。つまり、この634メートルには「634(ムサシ)」という地名が潜んでいるのだ。

 この例からも分かるように、世界共通の数字には、実はそれぞれの国の文化、歴史、習慣などの要素が込められている。それを無視すると、そこに暮らす人々の感情を逆なでする恐れがある。

 中国も同じだ。今の中国は自動車ブームに沸く。昨年の新車販売台数が前年比46%増の1364万台で、初の1000万台という大台に乗り、世界一の市場という地位も初めて確立した。今年はさらに伸びる。愛車のナンバープレートにいい数字を与えようと惜しみなく金をつぎ込む人も少なからずいる。最後の4桁の数字が8888となっている車もよく見かけられる。

 8は、中国人にとって縁起がいい数字となっている。広東語で「儲かりまっか」を意味する「発財」の「発」の発音に近いから、というのが通説だ。一方、車のナンバーに「4444」を選ぶ中国人はまずいない。4は死という文字の発音に似ているからだ。その延長線上にある「54」も喜ばれない。「我死」(私は死ぬ)と聞こえてしまうからだ。

 上海とその周辺地域では、13という数字も嫌われる。上海人が相手を罵る言葉に「13点」というのがある。13時を意味する言葉だが、時計には12時までしか時刻を表現できないということから、「13点」は頭のおかしい人間を指す。「あなたは13時だ」と言われたら、つまり「おまえはバカだ」と罵倒されていることになる。

 中国で次のような小話を聞いたことがある。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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