孫正義氏から一発OKを連発した『社内プレゼンの資料作成術』著者の前田鎌利氏。
対して「日本一のマーケター」神田昌典氏から「今後100年、歴史に名を刻む名著だ」と評された『最強のコピーライティングバイブル』著者の横田伊佐男氏。
このベストセラー2人が初めてノウハウを惜しげもなく披露する一日講座「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座“100%一発説得”最高のプレゼン術×最強のコピー術」に続々申込が寄せられている。なぜ、この講座は読者を惹きつけるのか?
今回は、この10月から横浜国立大学でマーケティングの授業を始めた横田伊佐男氏に、「あの名コピーの舞台裏」をこっそり教えてもらった。

「私はコレで会社をやめました」
あのコピーで、売上6倍!?

「私はコレで会社をやめました」<br />年商が6倍になった名コピーの舞台裏横田 伊佐男(Isao Yokota)
CRMダイレクト株式会社代表取締役。東京都生まれ。横浜国立大学大学院博士課程前期経営学(MBA)修了。シティグループ、ベネッセグループにて、一貫してマーケティングに従事。約6000商品のプロモーション経験、大手企業100社超のコンサルティング経験を体系化し、2008年に独立。「使えなきゃ意味がない」を信条に、使えて成果につながる戦略立案を徹底的にたたき込む日本唯一のプロフェッショナル・マーケティングコーチ。企業や受講者の課題点をすばやく摘出し、短時間で確実な成果へと引き上げる「超訳力」を駆使したマーケティング研修講座は、上場企業ホールディングス、政府系金融機関、欧州トップの外資系金融企業、意欲ある中小企業経営者等からの依頼が絶えず、これまでの受講者はのべ2万人を数える。ダイレクトマーケティングフェア、CRMカンファレンスなど講演多数。著書に、『最強のコピーライティングバイブル』(ダイヤモンド社)、『一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか?』(学研パブリッシング)、『ケースブック 価値共創とマーケティング論』(分担執筆、同文舘出版)がある。2016年10月から横浜国立大学非常勤講師(国際マーケティング論)。横浜国立大学成長戦略研究センター研究員

 世の中を支配する大きな力がある。
「言葉」「数字」だ。

 人は「言葉」によって影響され、「数字」によって管理されている。
 だが、2つを比較すると「言葉>数字」の図式になる。
 つまり、言葉の影響が大きい。
 戦争を引き起こすのも、恋愛するのも別れるのも「言葉」の影響が大だ。
 その「言葉」をビジネススキルへ昇華させたのが、「コピーライティング」だ。
「言葉」の力で、売上やレスポンスという「数字」を左右する力を秘めている。

「数字」につながる「言葉」としてのコピーライティング。
 売れるコピーライティングには、実は体系立った法則がある。
 それらを短い時間で、教えるのが私の仕事だ。
 多くの受講生に向けたコピーライティング講座では、毎回課題を課している。
 たとえば、こんな宿題だ。

~コピーライティング講座課題~
「自分が心動かされたコピーを持参せよ」

 すると、よくもまあ、こんなに面白いコピーがあるなと思うくらい、千差万別のコピーが集まる。先日もある女性受講者から懐かしいコピーが挙がった。

「私はコレで会社をやめました」
  出典:マルマン株式会社

 1984年放映の一世を風靡したCMからで、現在40代以上の方にはなじみがあるフレーズのはずである。
 しかし、なじみのない30代以下世代には、ピンとこないかもしれない。
 「コレ」とはいったい何なのか?
 なぜ、このフレーズが一世を風靡したのか?

 CMの商品は、タバコ型の禁煙グッズ「禁煙パイポ」である。
 30秒のCMには、3人の男性が登場する。
 1人目が右手に禁煙パイポを持っている。
 「私は、この禁煙パイポでタバコをやめました」
 2人目が続く。
 「私も、このパイポでタバコをやめました」
 そして、3人目が登場するが、パイポを持っていない。
 代わりに、立てた小指を見つめている。
「私は、コレで会社をやめました」

 あまり品がよろしくなく、女性には申し訳ないが、「小指」は女性を表現している。
 つまり、最後の男性は、「女性関係で会社をやめました」としてオチをつけている。

 1980年代は、現在と比較にならないくらい喫煙者が多く、室内の多くが禁煙になった現在では信じられない話だが、オフィスや飛行機の中は、当然のように煙が充満していた。
 当時の喫煙者マーケットは、とてつもなく巨大であり、当然禁煙したい喫煙者も多かったのである。