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いま、なぜ「クリームパン」が脚光を?
“売り切れ御免”の人気商品が続出する舞台裏

梅村千恵
2010年12月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
「八天堂」のクリームパン。カスタード、抹茶、小倉、チョコレート、生クリームの5種。オンラインショップでは2ヵ月先まで予約でいっぱい

 日本人にとってのパンの定番の1つ、「クリームパン」。あまりに定番、あまりに日本的ゆえに、いま1つ地味な存在でもあったクリームパンが、今ちょっとしたブームになっている。

 ブームの火付け役となったのが、「八天堂」の「くりーむパン」。八天堂は、広島県・三原にある、昭和8年創業の老舗パン屋。2009年秋に、「期間限定」で東京・埼玉の商店街の空き店舗で販売を開始し、09年10月には品川駅のエキナカに出店。

 ふわふわの生地の中に、保存料やリキュール類を一切使っていないこだわりのクリームを詰めたパンは、“冷蔵して食べる”という「スイーツ感覚」と、どこか懐かしい味わいが幅広い年齢層に支持され、いまや品川駅エキナカで「行列のできる店舗」に。

 テレビ番組での紹介も相次いでいる。定番のカスタードに加え、抹茶味、チョコレート味などのバリエーションもそろえる同店を訪れると、スイーツのブームにはあまり関心のなさそうなビジネスマンたちの姿もちらほら。「自分で食べてよし。場所柄、出張のお土産にもよし」というところだろう。

 また最近では、東京・世田谷区の「世田谷コーンブルメ」のクリームパンも、テレビ番組で紹介されたことをきっかけに話題を呼んでいる。同店は、住宅地にある、いわゆる「街のパン屋さん」だが、実はこちらも八天堂と同じく、創業78年の老舗。

 八天堂の発祥が和菓子屋であるのに対し、こちらはドイツからマイスターを招き入れ、ドイツパンの伝統にこだわり続けている。人気のクリームパンも、八天堂が「ふわふわ」の食感であるのに対し、こちらは「みっちり」「どっしり」とした食べ応えが魅力だ。

 関西地区では、兵庫県・尼崎市の住宅街に店舗を構える「バックハウス イリエ」のクリームパンも人気。梅田の百貨店に出店したことなどをきっかけに、その美味しさが知られるようになった。薄めのパン生地にオリジナルのカスタードクリームが詰まったクリームパンは、百貨店の売り場では売り切れ必至、店舗でもレジ横でどんどん売れていくとか。

 こうした人気のクリームパンに共通していることは、作っているメーカーや店舗が、「地元密着」であること。「世田谷コーンブルメ」「バックハウス イリエ」は、その地域に住んでいる人にとっては、日常の暮らしの中にある「わが町のパン屋さん」だ。

 ちなみに八天堂は、いまや東京、神戸に進出しているが、もともとは広島・三原を発祥とし、広島県内に10店舗を構える地元密着スタイル。その「東京進出」には、食品流通に関するコンサルティングなどを行なっている「生産者直売のれん会」(東京)が関わっているが、同団体は全国に点在する「あまり知られていない食品メーカー」の販路拡大などを担う組織である。八天堂は、そのモデルにぴったりであり、成功例になったということだろう。

 地元の人が、気取らず、手軽に食べ、愛してきた日常の味。飽きがこず、誰にでも愛される味――。それは、真の意味での「定番」だと言えるだろう。その定番の魅力が、現在のクリームパン人気を支えている。

 スイーツやパンなど、食品ブームには一過性のものも少なくないが、定番ゆえの魅力が幅広い層に支持されている「クリームパン人気」は、なかなか根強そうだ。

(梅村千恵)


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