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安東泰志の真・金融立国論

ユニバーサルバンクは万能か
~ナローバンク化の世界的潮流に抗う邦銀の前途

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第3回】 2010年12月14日
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邦銀のユニバーサルバンク志向

 2009年10月1日、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友銀行、日興コーディアル証券は、三井住友銀行が日興証券を傘下に収めるというニュースリリースを行った。その中で、3社は、「昨年(2008年)9月のリーマンブラザーズ破綻を契機に、世界的に金融再編が進められ、銀証一体化の動きが加速するとともに、国内ではファイアーウォール規制の見直しがなされる等、金融業界を取り巻く環境は大きく変化しています・・次世代に向けた新たな顧客ニーズや事業機会を果敢に捉える新しい金融ビジネスモデルの創造が期待されています」とした上で、「リテール・ホールセール事業ともに、商業銀行の持つ顧客基盤、安定性・安心感と、日興コーディアル証券の専門性の高いサービスとを融合させた新たな『複合金融』ビジネスを創造」と高らかに謳っている。

 実際、日本においては、93年以来、銀行と証券の相互乗り入れはどんどん進められている。具体的には、93年に銀行と証券会社は、子会社方式による相手業務への参入が認められ、その際に利益相反や銀行による優越的地位の濫用を防止するために設けられたファイアーウォール規制も段階的に緩和されており、09年6月の緩和によって、銀行と証券会社の役職員の兼職が認められ、顧客情報の授受もほぼ自由になった。

 銀行や証券会社は、銀行や証券に限らず、グループ内全業務の間の利益相反への目配りを求められているが、役職員が兼務し、顧客情報が共有された組織で利益相反を全くなくすことは不可能である。

 事実、3メガバンクは、2010年秋、共同出資で企業再生ファンド運営会社を作り、その役員も派遣し、自らの出資金を元に融資先に投資し再生させるビジネスを始めているが、これなどは自らの融資先に自らのカネで出資し、或いはその債権を買い取り、与信格付けを上げ、結果的に銀行の与信関連費用を削減するという、まさに利益相反の典型例とも言えるものである。

 このように、日本においては、リーマンショック後の今でもなお、金融機関のコングロマリット化、ユニバーサルバンク化が志向されている。しかし、この動きは、世界の金融規制の方向性とは正反対の方向を向いたものである。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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