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表紙が恥ずかしくて買えなかった読者の
ハートを見事に射抜いた
“デジタル・オンリー”出版社「カリーナプレス」

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第125回】 2010年12月15日
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 アメリカの主要出版社の収入のうち、電子書籍が占める割合は、今や10%にものぼると言われている。なかでもフィクションやロマンス、SFは、電子書籍の売り上げのうち上位を占め、急速な勢いで電子版読者数を伸ばしているジャンルである。

 紙の本を手放したくない読者や出版社の気持ちもわかるが、実はフィクションやロマンスは、わざわざ紙の本を買って積み上げなくてもいいジャンルとも言える。ヘビー読者は、一時のアドレナリンの興奮とエモーションの高まりの中毒となってどんどん読書をこなし、まるで使い捨てのように、次々と新しい本を手にするのを常としているからだ。

 読者のそんな習性をいち早く把握し、次世代出版の実験へと乗り出したのが「デジタル・オンリー(電子書籍しか出さない)」出版社のカリーナプレス(Carina Press)である。

 カリーナプレスを設立したのは、あのハーレクイン・エンタープライズだ。ハーレクイン社と言えば、ムンムンするようなロマンス小説を大量生産して、アメリカの女性の心を奪い続けている。カリーナプレスはその子会社として昨年から準備が進められ、今年夏に初めての出版物を世に出した。

著者募集から出版、販売、読書まで
すべてデジタルで行う

 カリーナプレスの特徴は、著者募集から出版、販売、読書まですべてデジタルで行うことである。

 まずは作品発掘。ハーレクインは、新しいロマンス作家を発掘するために常に新作品を公募しているが、カリーナプレスはここからすでにオンラインで行っている。ロマンス小説を世に出したい作家は、同社のインターネットサイトから作品を提出する。その後、数週間で編集部から出版可否の返事が来る。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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