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吉田恒のデータが語る為替の法則

【2011年相場見通し】米利上げ? 介入?
「時代遅れのドル安・円高」は幕を下ろすか

吉田 恒
【第111回】 2010年12月22日
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 2011年の為替相場の予想は、次の3つがポイントになると思います。

(1)2~3月にかけて90円前後へ「円安・米ドル高」が展開する

(2)その後、2007年から展開してきた円高トレンド最終章となる「円高第5幕」が待っている

(3)「円高第5幕」は、米国の利上げと協調介入などがきっかけとなり、早ければ2011年後半に、遅くとも2012年前半に70円台でクライマックスを迎える

90~95円程度まで「米ドル高・円安」が続く!?

 為替市場は、2010年11月から「米ドル高」へと反転しました。これをリードしたのが米国の金利上昇であり、この動きはまだ続きそうなので、そうであれば、それに米ドルが連れ高する展開ももう少し続きそうです。

 昨年11月からの米国の金利上昇は、11月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)で第2次量的緩和(QE2)が決まってから起こった動きです。

 ところで、2009年3月に第1次量的緩和(QE1)が決められたのですが、その後も金利は上昇し、その上昇は「資料1」のように3~4ヵ月で4%近くまで続きました。

資料1

 「資料1」のように、これまでのところは、QE2後もとても似た金利上昇となっています。

 もし、この先も似た展開が続くならば、米国の長期金利(10年もの国債の金利)は2~3月にかけて4%前後まで上昇することになり、それに連れて、90~95円程度まで「米ドル高・円安」が続くといったシナリオになりそうです。

 しかし、今年になって米国経済のデフレ懸念が浮上し、一時は2.5%割れまで低下した米国の長期金利が、本当にそんなに上がるのでしょうか?

米国経済は「ユーロの呪縛」から解放されつつある

 そもそも、米国経済のデフレ懸念を浮上させ、米国の金利を大幅に低下させたのは何だったでしょうか?

 「資料2」を見ると、4月まで年初来高値を更新するなど好調だった米国株を、軟調な値動きへと転換させたのが「ユーロ危機」だったことがわかります。

資料2

 ところが、最近になってユーロ安と米国株安の関係が崩れ始めました。

 米国株が「ユーロ危機」に慣れたのか、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加緩和などによって、ユーロ危機を気にしない状況に変わったのかはわかりませんが、米国経済は、どうやら「ユーロの呪縛」から解放されつつあるようです。

米国の金利がさらに上がっても不思議ではない

 ところで、米国の財政赤字は未曽有の規模に拡大しています。本来ならば、財政赤字は債券需給悪化で債券価格を急落させ、利回りを急騰させる要因となります。

 ちなみに、「財政収支」と「米国の2年債および10年債の利回り差」には一定の相関関係があります。

 それからすると、未曽有の財政赤字拡大で米国の2年債と10年債の利回り差は、この間の上限であった3%弱を大きく超えて、4~5%程度に拡大する見通しになっています。

資料3

 仮に、米国の2年債利回りが1~2%ならば、米国の10年債利回りは5~6%に暴騰する計算になるわけです。

 本来なら、未曽有の財政赤字は米国の長期金利暴騰を招きかねないものですが、これまでそうはならなかった主因が「ユーロの呪縛」にあり、足元でその状況から解放されたならば、米国の金利がさらに上がっても不思議ではないでしょう。

米国の財政赤字拡大は米ドルの弱さを示している

 それでは、11月につけた80円台前半で、2007年6月の124円から展開されてきた「円高・米ドル安トレンド」は終わったのでしょうか?

 仮にそうだとすると、今回の「円高・米ドル安」は3年5ヵ月にわたって続き、米ドルが約35%下落したところで完了したことになります。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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