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三菱重工主導の造船4社連合にライバル各社が戦々恐々

週刊ダイヤモンド編集部
2016年10月24日
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三菱重工業が造船事業の抜本改革を打ち出した。対策は大きく二つ。巨額損失を出した大型客船の建造からの撤退と、今治造船などとの提携強化だ。特に重要なのは後者。三菱重工が門外不出だった技術を他社に供与し、資本提携も検討する。“三菱連合”誕生で造船業界はようやく再編へと動きだしそうだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部・千本木啓文)

 三菱重工業は18日、大型客船の建造から撤退する方針を示した。ドイツのクルーズ会社から受注した2隻の客船で累計2408億円もの巨額損失を計上したためだ。

三菱重工業の宮永俊一社長は18日の記者会見で「日本に世界最高の造船技術を残したい」と述べ、痛みを伴う改革を断行する決意を示した Photo:JIJI

 三菱重工には、クルーズ会社が求める最先端の客船を設計するための経験値がなく、作業のやり直しを繰り返した。内装工事でも、トレンドを追うクルーズ会社のセンスに付いていけず、結局、欧州から専門業者を招くことになったため、建造コストが膨れ上がった。

 クルーズ会社のニーズを満たすには、客船に強い設計陣や内装業者などから成る“客船クラスター”が必要だが、三菱重工とパートナー企業はそのレベルに達していなかった。この問題が解決しなければ、“客船クラスター”を擁するイタリアなどの造船会社には勝てないと判断した。

 一方、日本国内の内装業者で対応できる伝統的なデザインの中小型の客船は失敗のリスクが低いため、引き続き受注する。

 三菱重工の宮永俊一社長は日本郵船から求められている客船「飛鳥2」の後継船の建造についても、交渉がまとまれば受注する意向を示した。

 大型客船からの撤退──。三菱重工が下した苦渋の決断に対して、複数の造船関係者は「巨額損失のみそぎを済ませただけ。想定内の中身でインパクトに欠ける」と口をそろえる。

 むしろ、造船業界にとって重要な意味を持つのは、建造量国内トップの今治造船、名村造船所、大島造船所との提携の方だ。これら造船専業3社は人件費が安く、低コスト生産を強みとする。「三菱重工が3社に技術力を提供することで、“三菱連合”の競争力が高まってしまう」と、早くも競合メーカーは危機感をあらわにする。

 三菱重工は造船の設計陣を分社する方向だ。これまでも三菱重工が省エネ技術を他メーカーに提供することはあったが、設計陣が事業会社として採算を求められれば、門外不出だった新型船の設計図も他社と共有しやすくなる。

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