3%と5.2%。これは、現在国会で審議中の年金制度改革法案に基づく公的年金額減少率の現在の水準からの減少幅に関する厚生労働省と民進党の井坂信彦議員の試算結果だ。

 名目手取り賃金が減少した場合に、従来の仕組みより年金額の減少率を大きくすることは、今回の改定の柱の一つだ。

 具体的には、これまで名目手取り賃金が減少した場合、物価が上昇していれば、翌年の年金額は据え置き、物価の下落率が名目手取り賃金の減少率より小さい場合は、物価の下落率に合わせて年金額を減額していた。それを、今回の改定案では、どちらのケースでも名目手取り賃金の減少率に合わせて年金を減額するようにする。

 民進党はこの法案を「年金カット法案」と称して安倍政権を追及している。井坂議員は10月4日に、2005年度までさかのぼって今回の法案の改定ルールを適用した場合、16年度の年金額減少率が現在より5.2%減少するとの試算を提示した。同党は、政府にも同様に今回の改定案に基づいた試算を提出するよう求めていた。

 17日に厚生労働省から公表された結果が3%。なぜ、井坂議員の試算と差が生じるのか。