ニューヨークと東京を往復し、世界中の書籍コンテンツに精通するリテラリーエージェント大原ケイが、トップエリートたちにいま、読まれている話題の最新ビジネス書を紹介する好評連載。第2回目は、シリコンバレーやウォール・ストリートでバズワードとなっている「マインドフルネス」のベストセラー本について。
仏教に留まらない「瞑想」の効果
シリコンバレーやウォール・ストリートでなにやら昨今バズワードとなっている「マインドフルネス」という言葉を聞いたことがあるだろうか?それともとっくの昔に知っていて、既に実行しているだろうか?
「マインドフルネス」とは、元をたどると特に目新しいコンセプトではなく、日本人の私たちもよく知っている、仏教でいうところの「念」や「気づき」のことだ。この10年ほど、スピリチュアル系限定のトピックだった瞑想の物理的な効果が、科学的データによって裏づけられる臨床研究報告が増え、今では「マインドフルネス」をアマゾンで検索すると8000近い本が引っかかる。
アメリカでのブームを牽引したのは、1979年に設立された「マインドフルネス・センター」で、グルはジョン・カバット=ジンなる人物。「瞑想によって意図的に注意力を傾け、良し悪しの判断なしに現時点の事象を受け止める」ことをマインドフルネスというのだそう。2012年に実施された全米健康意識調査では人口の8%に当たる1800万人が定期的に実行しているという結果が出たほどだ。
最初にマインドフルネスを謳い、ベストセラーになった本はマーク・ウィリアムスとダニー・ペンマンの共著「Mindfulness: A Practical Guide to Finding Peace in A Frantic World」だろう。既に世界26ヵ国語に訳され、本元のイギリスでは8のうちの1つの家庭に一冊はある計算になるという。日本では創元社から『自分でできるマインドフルネス』としてこの7月に刊行されたばかりだ。