「今年も巣ごもり年末年始」という人は少なくないはず。そうはいっても日々の仕事に追われているビジネスパーソンからすれば、久しぶりに時間がたっぷりとれるこのときを、無駄に過ごしてはもったいない!読書を通じて充実した時間を過ごしたいものだ。

そこで、2009-2010年の年末年始に引き続き、これまで1万7~8000冊以上の本を読破してきた“本のカリスマ”であり、数多くの出版コンサルティング、プロデュースを行っている土井英司氏に、「ビジネスに活きる本の上手な読み方」と「年末年始に読みたい」&「2011年仕事がやる気になる」書籍をそれぞれ教えてもらおう。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

インターネットではダメ!
ビジネスストーリー作りを本で学ぼう

――インターネットの普及により、ビジネスパーソンのネットに費やす時間が急増しています。しかし、その一方で大きく減少しているのが読書時間です。確かにネットは便利で情報もたくさん得られますが、ネットにはない「本を読む効用」とは何でしょうか。

どい・えいじ/出版マーケティングコンサルタント、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役、日刊メールマガジン「ビジネス・ブック・マラソン」編集長。慶應義塾大学総合政策学部卒。日経ホーム出版社を経て、2000年にAmazon.co.jp立ち上げに参画。エディター・バイヤーとして、売れる本をいち早く見つける目利きと斬新な販売手法で『ユダヤ人大富豪の教え』(50万部突破)など数々のべストセラーを仕掛け、「アマゾンのカリスマバイヤー」と呼ばれる。 2001年、同社のCompany Awardを受賞。独立後は数多くの著者のブランディング、プロデュースを手掛け、著者の強み(USP)の発見からブランド構築、出版戦略、マーケティングまでをトータルで行う業界屈指のプロフェッショナル。同時に、出版社への企画・PR・マーケティングのアドバイス・支援も行う。

 ビジネスの世界には、「これをすればうまくいく」という単純な答えはありません。成功するためには、「どういうストーリーを描くか」が非常に重要です。その力を鍛えるのに、インターネットではまず無理でしょう。なぜならインターネットというツールで得られるのは切り貼りの情報に過ぎず、そのノウハウではすぐに競争相手が現れるからです。確かにビジネスモデルを知ることは大切ですが、人とは違うストーリーを描いて、そのプロセスを継続することによって、はじめて競争優位性がもたらされることを忘れてはいけません。

 そうしたストーリー作りの技術を磨くために「本」はとても優れています。なぜなら、本には切り貼りした情報だけではない、思考を深める上での“連続性”があるからです。

 ストーリー作りの技術を磨くための本以外の方法としては、誰か優秀な人の話を聴くという方法があります。ただ、だからといって飲み会の席で話を聞いても意味がありません。なぜなら連続性のあるストーリーは論理性が必要で、その論理性は場をしらけさせてしまうからです。

 飲み会での話は、インターネットと同じで“一発ネタ”に過ぎません。そうなると、連続性のあるストーリーを作る力を磨ける場は、やはり「本」か、じっくりと話を聴くことのできる「セミナー」になります。どちらもロジックと連続性がありますから、格好の教科書になると思いますよ。