このところ、次世代車を巡る日系自動車メーカー各社の動きに「明らかな違い」が見えてきた。

 今回はその実例を2つ紹介する。

 まずは、マツダ(本社:広島県安芸郡府中町)のケースだ。

マツダの三次(みよし)自動車試験場。一周4.3kmの高速周回路を走行する次世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV」搭載実験車両

 広島県北部、人口約5万8000人の三次(みよし)市。同市街中心部に、マツダ三次自動車試験場がある。その敷地は、ロータリーエンジンの内部構造部品のようなオムスビ型の高速周回路で囲われている。高速周回路の全長は4.3kmで3車線。筆者は最上段のバンクコーナーを約220km/hで巡航した。

 用意された6車両のうち、まず乗ったのは、マツダが2011年後半~2012年前半頃に発売予定の次世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV(スカイアクティブ)D」(直列4気筒2.2リッター)を搭載した車両。中型セダン「アテンザ」で仮装しているが、6速マニュアルトランスミッション・ボディ・サスペンションなど同車両の中身は現行「アテンザ」とはまったくの別モノだ。

 最高回転数5200rpm、シリンダー内圧縮比14.0。これらの数字は、ディーゼルエンジンとしては世界自動車産業界の常識を覆すものだ。

 高速周回路2周して、全長3.8kmのS路(ワインディング路)を2周した。出来の良さはエンジンだけではなく、ハンドリングや乗り心地など「クルマの素性」でも十分に確認出来た。特にハンドリングは、低速から約70km/hまでの速度域ではシットリとし、約100km/hになるとドッシリとした安定感へと変動する。

 次の試乗車両、次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV G」とオートマティック「SKYACTIV-Drive」搭載車に乗り換えるため、試乗の中継基地として設けられたコース内のテントに戻った。すると、マツダの取締役・研究開発・プログラム開発推進担当・専務執行役員の金井誠太氏が声をかけてきた。

 「最初に、一番面白いヤツを乗ってしまいましたね」。

 その顔には「どうだ、まいっただろ」という含み笑いが見てとれた。