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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

日本の銀行が直面しているビジネスモデル崩壊の危機とは

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第7回】 2016年10月27日
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 銀行はいま大きな構造問題に直面している。貸付金利がゼロ%に収斂し、銀行にとっての主要な収益である資金運用収益が、ゼロになる可能性があるのだ。そうなれば、銀行のビジネスモデルの基幹が崩壊する。

日本の銀行が直面する
2つの構造問題

 前回見たように、日本の学生は銀行が安定的な就職先だと考えている。しかし、データを見ると、日本の銀行はさまざまな、そして深刻な問題に直面していることが分かる。

 これは、つぎの2つの要因によって引き起こされる。

 第1は、経済のマクロ的な変化と金融政策だ。利ザヤが長期的に減少しており、マイナス金利政策によって、その傾向が加速される可能性がある。

 第2は、金融技術の発達である。技術進歩は一般には生産性を向上させ、関連産業の成長を促進することが多い。しかし、金融業の場合には、プラスの効果だけでなく、マイナスの効果が生じる可能性もある。これまで金融業は情報産業でありながら、情報技術の進歩にはあまり影響を受けていなかった。その状況が急激に変わりつつあるのだ。

 第1の変化は、すでに起きている。そして、こうした変化が生じつつあることは、広く認識されている。しかし問題はそれだけではないのだ。より大きく、より本質的な問題は、第2の要因によって引き起こされる。それは銀行業の存在そのものをも揺るがしかねない。

 今回は、これらのうち、第1の問題について検討することとする。

マイナス金利で貸し出しが増えず
資金運用収益が減少

図表1に示すように、銀行の資金運用収益(貸出金利息や有価証券の利息・配当金など)は、2016年4~6月には4兆107億円となった。これは、15年4~6月の4兆3941億円に比べて、約1割、約4000億円の減少だ。

◆図表1:銀行業の資金運用収益の推移

(注)全規模
(資料)法人企業統計
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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

 日本が直面している課題は、実体経済をいかにして改善するかである。それは金融政策によって実現できるものではない。
 金融緩和に依存して長期的に衰退の道を辿っているヨーロッパ大陸諸国と日本。それに対して、新しい情報技術をつぎつぎに開発し、高度なサービス産業に特化して成長しつつあるアメリカとイギリス。両者の差は、イギリスのEU離脱によって、具体的な 形を取りつつある。
 日本はいま、基本的な成長のパタンを大きく変更しなければならない。これは、純粋な研究開発だけの問題ではない。企業の仕組みや社会全体の構造が重要な役割を果たす。

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