働き始めてから労働条件がハローワークの求人票と違うことを指摘すると「求人票が間違っている」と言われた。提示されていた給料が実際とまったく違っていた――。そんな「ブラック求人」に関する相談が相次いでいるという。実態はどうなのか。10月6日には連合が「『ブラック求人』問題を考える座談会」を開いている。ツイッターのハッシュタグ「#ブラック求人あるある」にも、過酷な実態が寄せられている(取材・文/鎌田和歌)

連合が行った座談会に出た
さまざまな苦情や相談

 《ハローワークの募集を見て応募した。(採用決定後に)労働条件通知書を受け取ったところ、求人票にあった「月給19万円」ではなく、「時給767円・22日勤務/月給13万5000円」となっていた。求人票と違うことを指摘すると、「求人票が間違っている」と言われ、労働契約書に捺印するように迫られた(30代男性)》

 10月6日に行われた「『ブラック求人』問題を考える座談会」。連合がまとめた資料には、このような相談事例が列挙されている。

 《「丁寧な研修あり」と書いてあったのに、「仕事はパートの人に聞いて」と言うだけ。残業代含まず25万円固定給のはずが、実際は月19万円にしかならない。(30代男性)》

 《求人票には「水・土曜日休み」となっていたが、実際の休みは火曜日のみ。(20代女性)》

 など、実態とまったく違う求人票がまかり通っている現実があり、さらに、《「社長から『求人票と労働条件が違うことはハローワークに言うな』と言われたため、『おかしくないですか?』と言ったところ、解雇通知を受けた」(30代女性)》という悪質な事例もあった。

 連合によれば、ハローワークの求人票の記載内容に係る求職者からの申出・苦情などの件数は1万937件に上る(2015年度)という。そのうち最も多いのが「賃金に関すること」(24%)で、次いで「就業時間に関すること」(19%)。また、具体的な要因としては「求人票の内容が実際と異なる」(36%)が最も多く、「求人者の説明不足」(23%)が続いた。

 この件数は、民間の求人サイトに関する苦情は含まれず、ハローワークを介した求人のみ。ハローワークの場合、サイト内などに苦情やトラブルの相談窓口が明記されているが、民間の場合はこれがないことが多いため、「苦情を集めるシステムさえない」のが実情という。