近年、働き盛りの人たちが「引きこもり」状態に陥る事態の背景には、リストラや体調不良、親の介護などで仕事を辞めざるを得ないことや、社会復帰しようとしてもなかなか仕事に就くことのできない、雇用制度の不備も大きく影響している。

 そんな35歳以上の人たちの実態は、『「未来が見えない!」35歳以上「無職・独身者」のリアル』という特集記事として『週刊SPA!』(4月2日号)にも取り上げられるまでになった。

 今年1月の有効求人倍率は0.85倍で、3ヵ月続けて上昇し、求人も増えるなど、このところ改善しつつあるといわれる日本の雇用情勢。ところが、「実態は悪化しているのに、それが数字には反映されていない」と、ハローワークの利用者は言う。

 仕事は本当にあるのだろうか。確かに、全国のハローワークで受理された求人件数は3月26日現在、88万4019件にも上る。

 ハローワークインターネットの求人情報を検索してみると、求人数は40歳のフルタイムで47万1028件。50歳でも43万6613件もあり、仕事は溢れているように見える。

 厚労省によると、2011年度の求人数は、815万7140人。しかし、実際、同年度中に就職できた人は219万810人で、わずか26.9%に過ぎないことがわかった。つまり、これだけの求人数がありながら、4分の1程度しか雇用につながっていないことになる。

200社中面接にこぎつけたのは5社
元教員男性が語る“カラ求人”の内実

「実際に、求人は出しても採用しない“カラ求人”の企業が多いんですよ」

 こう話すのは、本格的にハローワークで仕事を探し始めてから2年半の間に、200社以上応募し続けてきたという50歳代前半の元学校教員のAさん。

「ハローワークの中に求人開拓員という人がいて、開拓はしているそうなんです。地元の企業を回って“無料だから出してください”って。まったく採用する気がないのに、融資や助成金目的で出す場合もあるそうですし、単に、有力者に頼まれたから仕方なく出すということも結構あるようです。よほどいい人材が来れば採用するけど、あまりそういう人はいない。だから、1ヵ月ごとに求人が更新され続けるという、ずっと開店休業のような状態なんです」

 こうしたハローワークの実態は、身近な問題でもあるにもかかわらず、これまであまり触れられることはなかった。