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社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

ラブホテル全焼す!
放火知能犯の証言を丹念に追う
保険会社「特殊捜査班」の事件ファイル

小川真人 [ACEコンサルティング株式会社 代表],白井邦芳 [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]
【第17回】 2011年1月5日
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ラブホテル全焼!

 夜11時を回った頃、眠らない街、新宿歌舞伎町の一角で、大型ラブホテルが勢いよく燃えていた。白煙が充満する中、若い男と老女が、逃げ惑う利用客を冷静に外へ誘導していた。その様は一人も負傷者を出してはならないという、ホテル従業員の必死さが伝わるものだった。

 ホテル入口とちょうど反対側には、足の不自由な老人が心配そうに燃え盛るホテルを見上げていた。そこはホテルの裏手にある、ホテル所有者の自宅母屋のある場所で、幾つかあるホテルの避難通路の一つにもつながっていた。

 火の手があがって数分後には、何台もの消防車が現場に駆けつけ放水を開始していたが、ホテルの密集地ということもあり、大型車両が出火場所近隣まで立入れず、思うような成果を上げられない状態となっていた。

 何度か大きな炎が上がり、鎮火した頃には最初に出火したラブホテルは全焼、近隣のホテルにも一部延焼する大火災となっていた。その後、消防・警察の現場検証やラブホテル従業員の聴取から、当日ホテルを利用した顧客に怪しい行動があり、その顧客のタバコの火の不始末か、意図的な放火の可能性が浮かびあがった。

 現場検証が終わるや否や、封鎖していたロープをくぐって一人の男が捜査員に近づいてきた。その男は、名刺を見せながら担当刑事に幾つかの質問をした。その名刺には見慣れぬ部署名が刻まれていた。

特殊捜査班「SIU」出動!

 保険会社には主に人の命を扱う生命保険会社と物の損害や賠償責任、人の傷害などを扱う損害保険会社がある。火災に関係する分野は損害保険会社に所属し、事故が発生した後、原因究明や損害額の調査を行う部門を「損害調査」あるいは「損害サービス」という。

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小川真人(おがわまひと) [ACEコンサルティング株式会社 代表]

公認会計士、公認不正検査士、日本法科学技術学会正会員。慶応義塾大学商学部卒業後、1986年、ピートマーウィックミッチェル会計士事務所(現在のKPMGあずさ監査法人)に入所し、会計監査・リスクマネージメント業務に幅広く従事。2003年より2008年まで、(株)KPMG FASにて日本における不正調査サービスの責任者(パートナー)として、不正会計調査、経営者不正調査、従業員不正調査、個人情報流出事件調査など、多様な不正調査やリスクマネージメント業務を提供。2008年4月より、ACEコンサルティングを設立して独立。

白井邦芳(しらい くによし) [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]

AIU保険会社及びAIGグループ在籍時に数度の米国研修・滞在を経て、企業の危機・不祥事・再生に関するコンサルティングに多数関わる。2350事例にのぼる着手案件数は業界屈指。2009年から現職。リスクマネジメント協会評議員、日本法科学技術学会正会員、経営戦略研究所外部専門委員、著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)等がある。


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海外で発生するテロや暴動そして天災、果ては脅迫から社内の権力闘争の暴露まで。現代の企業はまさにリスク取り囲まれて活動している。ことは生命にかかわることが多いにもかかわらず、依然として、日本企業はこの種のリスクには鈍感。イザというときに、じたばたしないためには、準備こそがすべて。具体的な事例を基に危機管理の鉄則を公開する。

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