
元TOKIOの国分太一氏にコンプライアンス上の問題行為があったとして、日本テレビが6月20日に記者会見を開いた。背景には、不祥事対応に失敗したフジテレビの二の舞いを避ける狙いがあったとみられる。だが、「国分切り」で逃げ切りを図る日テレには、重大な死角があると言わざるを得ない。(イトモス研究所所長 小倉健一)
核心は闇の中、日テレは信用できるのか?
元TOKIOの国分太一氏が、2024年6月に日本テレビの看板番組「ザ!鉄腕!DASH!!」を降板し、無期限の活動休止を発表した。突然の発表の裏には、週刊文春が報じた「複数のわいせつ事案」の存在があったようだ。
しかし、日本テレビ側は「コンプライアンス違反」という言葉で事態を覆い隠し、具体的な内容は「プライバシー保護」を盾に一切開示しないという、したたかな戦略を選択した。
この対応は、フジテレビが中居正広氏と同局の元アナウンサーを巡るトラブルで世論の厳しい批判にさらされた轍を踏むまいとする、計算されたリスク管理の一環と見て間違いないだろう。
詳細を明らかにしないことで、憶測の拡散や二次被害を防ぎ、企業イメージの毀損を最小限に食い止めようという意図が透けて見える。
だが、「隠蔽」とも取れる戦略は、日本テレビにとって諸刃の剣である。具体的にどのような行為があり、誰が被害を受けたのかが不明なままでは、被害者が本当に救済されたのか、そもそも組織として適切な対応がなされたのかを、外部が検証する術はないからだ。
もちろん、何でもかんでもオープンにすることが正義ではない。特に、被害者が情報の公開を望んでいないのであれば、その意向は最大限尊重されるべきである。