(店長)「さあ、そろそろ忙しくなるよ。金曜夜のシフトは大変だからね~」
(スタッフ)「え、そうなんですか?聞いてないんですけど…」
(店長)「おいおい、採用面接でも『金曜は忙しい』って説明したよ!」
(スタッフ)「知りません!店長が“伝えたつもり”になってるだけじゃないですか?」

アルバイト応募者の適性を見たり、条件をすり合わせたりするだけで、面接を終わらせていないだろうか?店長とスタッフがじっくり一対一で向き合える採用面接の場は、店長が大切にしている価値観を確実に伝え、最高のモチベーションを持って働きはじめてもらうための「育成のステップ」でもある。最新刊『アルバイト・パート[採用・育成]入門』から一部を紹介する。

「やりがいを伝える=想いをぶつける」と勘違いしていませんか?

面接も「アルバイト育成」の重要ステップ

実のところ、アルバイトの採用プロセスはそれ自体が「新人受け入れ」としての意味も持っています。実際、優秀な店長は、面接が「採用後の育成」にも大きな影響を与えることを自覚し、面接の段階でその人材のモチベーションを引き出そうとしています。

そのときのポイントが「応募者のニーズ」をしっかりつかめているかどうかです。面接で重要なのは、時給や勤務時間などの条件面のすり合わせだけではありません。それ以外の面で、その人がどんなことを求めているかを探り、「この職場なら希望が叶えられそうだ」という期待感を持ってもらわなければならないのです。

応募者それぞれにさまざまなニーズがあるのはたしかだとしても、属性ごとにどんな傾向があるのでしょうか?下図が調査結果です。「収入」以外の上位を並べてあります。

■アルバイトを探している理由・目的

属性別に見ると、仕事を通じた自己成長を期待しつつ、交友関係を広げたいという希望を持っている学生、家庭を大切にしつつ、社会との接点をほしがっている主婦、新しい仕事にチャレンジするなど、仕事におけるスキルアップ・能力向上を意識しているフリーターといったところでしょうか。こちらも参考にしながら、「応募者がこの職場に何を期待しているのか」を考えてみましょう。