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炎上に参加するネット民はわずか0.5%、その属性は?

『ネット炎上の研究』

flier
【第19回】 2016年11月7日
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要約者レビュー

『ネット炎上の研究』
田中辰雄、山口真一著
勁草書房
242ページ
2200円(税別)

 ブログやTwitterなど様々なSNSが普及するのに伴って、ネットにおける「炎上」も広く知られるようになった。著名人のスキャンダルや不適切発言、企業のコンプライアンス、一般人の行動など、炎上の原因は多岐にわたる。ネットの炎上事件がテレビや新聞でも取り上げられ、さらに世間に周知されるようになり、事態が深刻化することも日常茶飯事だ。もし自分や自分の属する組織が炎上の対象になったら、と想像してぞっとしたことがある人も多いのではないだろうか。しかしこれまで、匿名性の高いネットの世界において、どんな人が批判的なコメントを書き込んでいるのかといった実態を、くわしく知る術はなかった。

 本書『ネット炎上の研究』は、数ある炎上対策本とは一線を画す、実証研究に基づいた「炎上研究書」である。驚くべきことに、著者たちの分析によれば、攻撃的な書き込みをする現役の炎上参加者は、ネットユーザ全体の約0.5%程度しかいないという。このことを踏まえて本書が提案する炎上防止策は、個人の情報発信力の濫用を抑制しつつ、SNSとしての情報発信力は維持する「サロン型SNS」というモデルだ。これは、今後のネット社会やSNSの発展例として、非常に興味深い発想といえるだろう。

 炎上の実態を知り、対策をしたいのであれば、まず本書を読んでいただきたい。また、新たなネットビジネスを模索している人にとっても、役立つアイデアが得られる一冊となっている。 (櫻井 理沙)

著者情報

田中 辰雄(たなか たつお)
 1957年、東京都に生まれる。東京大学大学院経済学研究科単位取得退学。国際大学グローバルコミュニケーションセンター研究員、コロンビア大学客員研究員を経て、現在、慶應義塾大学経済学部准教授。専攻は計量経済学。
 主要著作・論文『ゲーム産業の経済分析』(共編著・東洋経済新報社、2003年)、『モジュール化の終焉』(NTT出版、2007年)、『著作権保護期間』(共編著、勁草書房、2008年)、『ソーシャルゲームのビジネスモデル:フリーミアムの経済分析』(共著、勁草書房、2015年)ほか。

山口 真一(やまぐち しんいち)
 1986年生まれ。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教。2010年慶應義塾大学経済学部卒。2015年同大学経済学研究科で博士号(経済学)取得。同年より現職。専門は計量経済学。研究分野は、コンテンツ産業、フリービジネス、ソーシャルメディア、プラットフォーム戦略等。
 主要著作・論文『ソーシャルゲームのビジネスモデル:フリーミアムの経済分析』(共著、勁草書房、2015年)、「ネットワーク外部性の時間経過による効果減少と普及戦略――ゲーム産業の実証分析――」(『組織化学』49(3)、白桃書房、2016年)等がある。

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