原油相場は上値が重くなっている。国際指標であるブレント原油は、9月のOPEC(石油輸出国機構)臨時総会での加盟14カ国全体の産油量を日量3250万~3300万バレルに制限する決定を受けて、上昇傾向で推移した。

 10月10日には、ロシアのプーチン大統領によるOPECとの生産協調に前向きな発言を受けて、1バレル当たり53.73ドルまで上昇した。その後、50ドル台での推移が続いていたが、10月末にかけて50ドルを割り込んだ。

 11月30日に予定されているOPEC定例総会では、国別の産油量など減産の詳細が決定されることになっているが、その協議が難航するとの観測が強まっている。

 10月23日には、OPEC第2位の産油国であるイラクのルアイビ石油相が、減産に消極的な姿勢を示した。同国は、過激派組織「イスラム国」との戦闘に資金が必要だとして、内戦などの影響で産油量が抑制されているナイジェリアやリビアと同様に、減産の対象国から除外されるべきだと主張した。

 また、OPECが国別の産油量を決定する際に参照する産油量推計値の妥当性に対して、イラクの実際の生産量よりも過小評価しているのではとの疑問も呈した。

 こうした中、OPECは、28日にオーストリア・ウィーンで専門家会合を開催し、減産の詳細をめぐって協議したが、イランが合意事項からの除外を要請したこともあり、意見の一致は得られなかったとされている。29日には、非OPECのロシア、アゼルバイジャン、ブラジル、メキシコ、カザフスタン、オマーンも会合に加わり、「有益で建設的な」話し合いだったとされるが、具体的な成果は乏しかったとみられる。

 今後、11月25日に、再びOPECの専門家会合が開催され、減産の詳細が協議される見込みだ。11月30日以前にOPECと非OPECの会合も再び開催されるようだ。しかし、各国の立場は対立しており、議論は容易ではない。

 また、仮に何らかの合意ができても、実際にそれが順守されるのか、実効性が疑問視されるものと思われる。

 一方、ベースメタルの代表である銅の相場は、1月をボトムに上昇し、3月に高値を付けたが、その後は一進一退が続いている。10月上中旬は、米利上げ観測などを背景にドル高が進み、ドル建ての商品価格の抑制要因になったことや、9月の中国の銅輸入が減少したことを受けて、弱含んでいた。

 下旬には、LME(ロンドン金属取引所)指定倉庫の在庫が減少傾向で推移する中、中国需要の持ち直し観測などから、投機的な買いが集まったようだが、先行きの見方は分かれている。

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)