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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

村の全世帯が富裕層、黄金ボーナス支給も
中国人すら知って驚く中国の「金持ち村」

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第35回】 2011年1月13日
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 ここ数年、はじめて中国を訪問した日本人の多くは、目にした光景にショックを覚えるという。中国がそこまで発展しているとは予想していなかったことがその理由らしい。日本では、中国経済がバブルでいまにも崩壊するといったメディアの報道が氾濫している。これらの報道を信じきった日本人は中国に行くと、現実の中国と日本のメディアに描かれた中国との間に大きな落差があることに気付き、ショックを覚えずにはいられない。

 たとえば、日本では中国の格差問題がよく取り上げられている。中国社会に大きな格差が存在していることは事実だが、日本では、豊かな都市部と貧しい農村部との構図として描かれている。しかし、現実の中国には、豊かな農村部と貧しい都市部という事実も存在する。

 昨年11月30日、江蘇省江陰市長江村では、あるビルの前に長い列ができた。818世帯の村民がここで1世帯に黄金100g、白銀100gのボーナスを受領した。人民元に直せば4万元(50万円近く)相当だが、現金ではなく金と銀にしたのは中国の伝統を考えたアイデアだそうだ。

 中国のメディアの報道によると、長江村の村民は大体、400平米前後の一戸建てに住んでいる。1995年から、村が一戸建て住宅の建売を始めた。分譲価格は6万8000元から19万8000元くらいだった。2005年、村民の全員が一戸建ての家を所有できた。そこで、村は翌06年にある思い切った行動に出た。何と1世帯当たり19万8000元の基準で住宅購入代を村民に返したのだ。つまり住宅は村からのプレゼントとなったのである。

 江陰市にはもう一つ有名な金持ちの村がある。華西村だ。十数年前に取材したことがある。しかし、長江に臨む長江村の存在は正直言ってこれまでまったく知らなかった。メディアの取材にもあまり応じないことで知られるそうだ。しかし、今度はその黄金ボーナスの支給で一躍その名を世間に広めた。慌てて長江村に関する資料を調べてみると、村には江蘇新長江実業集団という村営企業があり、港湾、物流、鉄鋼、化学、不動産、機械電機製造などの8分野の48の企業を管轄し、10年の売上額は450億元になるという。2009年、村の純資産だけでも120億元にのぼる。1972年にわずか3000元しかなかったその純資産を30数年間で400万倍に増やしてきたのだ。

 こうした金持ちの村は豊かな江蘇省の江南地帯に多いが、他の地方でも見られる。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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