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財部誠一の現代日本私観

日本企業は失敗、撤退の歴史を乗り越えられるか
「Asiaの時代」の絶望と希望

財部誠一 [経済ジャーナリスト]
【第1回】 2011年1月17日
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もう「かつてのAsia」は存在しない
“先進国レベル”が射程距離に

 先進国から新興国へと成長エンジンが切り替わった、と誰もが言う。なかでもAsiaに対する期待が俄然、高まってきた。新年早々の新聞紙面からもAsiaに対する関心の高さが随所にみてとれた。

 たしかにAsiaの経済は世界でも群を抜いている。中国経済は金融引き締めで急ブレーキがかけられた格好だが、それでも年率9%程度の成長は達成しそうだ。人口2億3000万人、イスラム最大の人口大国インドネシアは長い間、期待はずれに終わってきたが、ついに7%成長が期待されるまでになってきた。タイはあっという間にリーマンショック後のダメージを克服した。人口8000万人のベトナムは国民の平均年齢が20代で、今後、急速な経済成長が確実視されている。

 アジア諸国でビジネスを展開している知人が新年早々、興味深いメールを送ってくれた。

 アジアの上昇エネルギーの“質”が明らかに変わってきたという。

 「これまでのアジア諸国の上昇エネルギーは『昨日よりも今日、今日よりも明日…』という力強いけれど、身近でシンプルなものでした。手の届く範囲での希望や目標にまい進してきたと言い換えることもできます。しかし昨年あたりから大きく変化が起こってきたという印象が強い。あらゆるジャンルにおいて、かつては『手が届かない先進国レベル』が射程距離に入ってきたという感触をアジア諸国の人々が持ち始めています」

 Asiaは明らかに変わった。

 80年代、90年代のAsiaに対する知見ほど危ういものはない。人件費削減のための生産基地としての側面ばかりが突出し、政治も商慣習も先進国とは比べるべくもない二流ぶりを発揮していたAsiaのかつてのイメージを引きずっていたとしたら、ビジネスにおいては致命傷になる。もうかつてのAsiaは存在しない。先進国レベルを手に届く目標として意識できるまでになってきたのだ。こうしたAsiaの経済成長を日本企業が自社の売上や利益の拡大につなげることができれば、日本経済全体も浮上していくだろう。

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財部誠一 [経済ジャーナリスト]

1956年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。金融、経済誌に多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして期待される。BS日テレ『財部ビジネス研究所』、テレビ朝日『報道ステーション』等、TVやラジオでも活躍中。また、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を主宰し、「財政均衡法」など各種の政策提言を行っている。


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経済ジャーナリスト・財部誠一が混迷を極める日本経済の現状を鋭く斬るコラム。数々の取材から見えた世界情勢を鋭く分析するとともに、現代日本にふさわしい企業、そして国のあり方を提言していく。

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