ボジョレーヌーヴォーが17日解禁された。生産国フランスより早く飲めるという触れ込みで、バブル全盛期には「解禁パーティー」があちこちで開かれた。「初物」好きであり、軽い味わいを好んだ日本人にとっては、すっかりお馴染みのワインだ。だが、その輸入量は年々減少しており、大きな曲がり角を迎えている。(ジャーナリスト 芳賀 真)
年々輸入量は減少
今年は全盛期の半分以下
今年もボジョレーヌーヴォーが17日、解禁になった。スーパーやコンビニの店頭には「新酒解禁」を謳うポスターが躍るが、じつは年々輸入量は減少している。事実、今年の輸入量は全盛期2004年の半分にも満たない50万ケースと予想される。
2004年のピーク時には104万ケース、1248万本が輸入された。当時の日本の人口は1億2800万人。つまり、10人に1人、いや大人だけに限れば5人に1人がヌーヴォーを開けていたことになる。まさに、隔世の感を禁じ得ない。
輸入数量トップのサントリーワインインターナショナルは、「今年のモノを今年のうちに楽しみつくす」ためのボジョレーヌーヴォーパーティー「ボジョパ」の提案で、受注量は前年比9%増の8万5000ケースを見込むが、輸入量2位のイオングループ(コルドンヴェール)の輸入量は前年比15%減、3位メルシャンも前年比17%減となる模様だ。
大手スーパーの多くも仕入れを縮小し、昨年の2ケタ減を計画。コンビニも取り扱い品目を減らしており、過去5年で最低レベルとなる模様だ。
2009年にはスーパーの目玉商品として「最安値合戦」を繰り広げたペットボトルヌーヴォーもすっかり下火となり、取り扱いを中止したチェーンも多い。街も売り場もクリスマス商戦に向けて動き出す中、「解禁日後の週末までが勝負」と流通関係者も消極的だ。年中行事としてすっかり定着したかのように見えるヌーヴォーだが、年々盛り上がりを見せるハロウィーンやバレンタインのお祭り騒ぎと比べると一抹の寂しさが漂う。