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日本が誇る!食のブランド 池田陽子

若者の酒離れに逆行!?「梅酒」大ブレイクの背景

池田陽子 [食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]
【第14回】 2016年9月30日
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梅酒の消費が急拡大している

 いま、梅王国・和歌山において、「梅酒」が希望の星となっている。

 若い世代の酒離れが叫ばれるなか、梅酒市場は拡大している。20~30代の女性を中心に、消費が増加。梅酒の生産量は、2002年の約2000万リットルから2011年には約3900万リットルと伸び率が約2倍となり、拡大が続く。

 ところが、梅酒用青梅の出荷は、同時期に約5900トンから約6400トン、伸び率は1.08パーセントと、ほぼ横ばい。梅酒の伸びに比例していないという珍事が起きていた。

 これは酸味料や香料、着色料を使い梅の量を減らしたタイプの梅酒が増えていたからだ。一方、和歌山県内のメーカーが生産、販売している梅酒のほとんどは、梅と糖類、醸造アルコールのみを原料とする「本格梅酒」。どちらも、同じ「梅酒」の名前で流通していた。

 和歌山県では、梅の需要拡大につなげるために、政府に梅酒の表示区分けを要請。この動きにあわせて、日本洋酒酒造組合では、昨年1月、酸味料、香料、着色料を使用しない梅酒に対して「本格梅酒」と表示できるという自主基準を制定した。

 和歌山県ではこれを機に、青梅の需要拡大や、県産の梅酒の販売促進につなげるべく、「紀州の本格梅酒」のPRを行っている。

梅酒売上5年で25倍!?
“斬新すぎる商品”で大ブレイク

最近では、男性をメインターゲットにした「甘えてられない人生梅酒 しょうが」も誕生。梅酒に国産の果肉入りしょうがを加え、糖質39%カットしたキリッと辛口な梅酒も話題を呼んでいる

 県内でも梅酒に力を入れる企業が増え、梅酒とともに急成長を遂げたメーカーもある。海南市の酒類、梅果汁の製造販売等を扱う「中野BC」。県内でも屈指の梅酒の売り上げを誇り、2005年から2010年の5年間で、なんと梅酒部門の売り上げ25倍という業績を達成している。

 中野BCは1932年、醤油の製造・販売からスタート。1961年からは日本酒醸造をメインに取り組み、2008年には「紀伊国屋文左衛門」が、ISC(International Sake Competeition)入賞をはじめ、数々の国内外のコンペティションで優秀な成績をおさめ、全国区のブランドとして成長を遂げていた。

 しかし、次第に日本酒の消費が低迷するなか、日本酒事業への依存に危機感を持った三代目である社長・中野幸治さんは、自社の事業拡大に向けて梅酒に着目した。

 梅酒の製造自体は1979年からスタートしており、その後、梅農家をバックアップするべく、南高梅を使った梅酒造りをはじめたが、王道の梅酒とともに、新たなジャンルの梅酒を開発していた。それが「カクテル梅酒」である。

 「和歌山では、梅酒は『自宅で作るもの』で、わざわざ買うものではありませんでした。だから、家庭ではできない味わいの商品が必要だったのです」(中野さん)

 色と味に種類などなかった梅酒に、ほかの素材を加えるという、当時としてはかなり斬新な商品を作り上げてしまったのだ。

 健康面における付加価値もプラスするべく、赤紫蘇を加えた「赤い梅酒」、はちみつを加えた「蜂蜜梅酒」が完成。赤と黄色があるなら緑もプラスして「三色梅酒」として販売しようと、試行錯誤のうえ緑の梅酒が完成。「緑茶梅酒」である。

 しかし時代が早すぎた。

 「得意先からは『なんで、梅酒に緑茶混ぜてんねん!』という反応。微々たる売り上げのまま、なんとなく存続していました」(中野さん)

 そんな三色梅酒に転機が訪れる。

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池田陽子[食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]

宮崎生まれ、大阪育ちのアラフォー。立教大学卒業後、出版社にて女性誌、ムック、機内誌などの編集を手がける。取材を通して、カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。自身の体調の改善、美容効果などをふまえてふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる薬膳の提案や、漢方の知恵をいかしたアドバイスを、執筆、講習会などを通して行う。また、日本各地の食材を薬膳的観点から紹介する活動も積極的に取り組み、食材の新たな魅力を提案、発信を続け、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。著書に「ゆる薬膳。」(日本文芸社)「缶詰deゆる薬膳。」(宝島社)、「『ゆる薬膳。』はじめたらするっと5kgヤセました!」(青春出版社)などがある。
■HP:www.yuruyakuzen.com
■Facebook:https://www.facebook.com/yoko.ikeda.79

また、鯖をこよなく愛し、日本全国・世界のさば、さば料理、さば缶を楽しみ、さば文化を語り、さばカルチャーを発信し、さばで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動している「全さば連」(全日本さば連合会)にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。
■全さば連HP:http://all38.com
■FACEBOOKページ:http://www.facebook.com/mackerel.cava  

 


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観光立国を目指す日本にとって、日本の食は大きな資産だ。日本各地にさまざまな誇れる食のブランドがあるなかで、多くの日本人・外国人にも知られているモノはいかにしてブランドを築き、なおそれを維持しているのか。その日本の食のブランド戦略を探る。

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