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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

前代未聞の「イトマン事件・実名暴露本」はなぜ生まれたのか

國重惇史・『住友銀行秘史』著者インタビュー

週刊ダイヤモンド編集部
2016年11月18日
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戦後最大の経済事件といわれるイトマン事件の内幕を実名で描き、話題となっている『住友銀行秘史』。著者は住友銀行の元取締役で、現リミックスポイント社長の國重惇史氏。イトマン事件では当事者として権謀術数の最中にいたエリートバンカーだった國重氏に、問題作を上梓するに至った背景などについて聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)

くにしげ・あつし/1945年生まれ。東京大学卒業後、68年に住友銀行(現・三井住友銀行)に入行。MOF担(大蔵省担当)を長く務め、94年に住友銀行取締役。楽天副社長などを経てリミックスポイント社長 Photo by Takahisa Suzuki

──著者では、大阪の中堅商社であるイトマンのメーンバンクだった住友銀行が、暴力団、地上げ屋といった裏社会の勢力に食い物にされた経緯を、銀行の内紛劇を交えながら克明に描いており、銀行業界で物議を醸しています。

 イトマンがおかしいと思った最初のきっかけは1990年3月20日。(裏社会と政財界を結ぶフィクサーと呼ばれた)佐藤茂氏らが磯田一郎会長のところに、「イトマン大丈夫ですか」と懸念を指摘しに来たこと。これは大変なことになると感じました。

 このころから手帳に記録として詳細なメモを取るようにしました。当時の記録は手帳8冊分になっていて、それを基に物語を組み立てました。

──大手銀行の内幕をこれほど生々しく、かつ実名で明らかにしたのは前代未聞です。反対もあったのでは。

イトマン事件の詳細を記した手帳のメモのコピー。新聞記者、役員、大蔵官僚、日銀幹部らとのやり取りが克明に記録されている Photo by Keisuke Yamaguchi

 この本を書くことは、事前に誰にも伝えていません。メモには、住友銀行の天皇と呼ばれていた磯田会長、三井住友銀行の初代頭取となる西川善文氏など、主要人物だけで70人以上が出てきます。

 実名で出てくるOBは怒っているでしょうが、登場人物からはまだ、反応はありません(取材した10月14日時点)。

 出版したそもそものきっかけは、講談社の編集者に口説かれたからです。あるとき、手帳のメモを見せてしまった。すると編集者の声色が変わりました。「世に出すのが責務だ」と。

 出版が決まるまでには紆余曲折あって、出すのはやめたいと何度も編集者に訴えました。ただ、編集者も慣れたもので、そのことは取りあえず完成させてから考えましょうとか、私が死んでから出版してもいいからと、説得されてしまいました。

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