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佐高 信の「一人一話」

気さくな名物経営者 樋口廣太郎の勲章拒否宣言

佐高 信 [評論家]
【第34回】 2015年11月23日
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 経営者の語る文学論に感心したことはほとんどないが、樋口廣太郎の司馬遼太郎評と藤沢周平評には唸らされた。

 『味の手帖』という雑誌の1997年5月号で対談した時、樋口はこう言ったのである。

 「司馬さんは好きだけど作りすぎるの。『坂の上の雲』にしても何にしても栄光を当てようとするでしょう。だから藤沢さんと全然違うんだよ。藤沢さんの小説は、自分が暗いときに読むともうたまらないんだなあ。居ても立ってもいられない」

 『司馬遼太郎と藤沢周平』(光文社知恵の森文庫)を書いた私も頷ける指摘だが、そのとき樋口はこうも付け加えた。

 「藤沢周平はきれいですよ。美意識が最後まで残っている。だけど辛いね、あれは。あまりにもきれいすぎて」

銀行屋も楽じゃない

 財界の世話役ともいうべき存在だった樋口の名を私は伊藤肇の『はだかの財界人』(徳間書店)で知った。

 住友銀行の秘書役だったころ、樋口は「アカシアの雨がやむ時」の替え歌をつくった。

 札束の夢にうなされ
 このまま死んでしまいたい
 夜があける
 目がまわる
 今日はあの町
 明日はここ
 泣きたくなるよな
 成績表を見つめて
 あの支店長は
 涙を流してくれるでしょうか

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佐高 信 [評論家]

さたか・まこと 1945年山形県酒田市生まれ。評論家、『週刊金曜日』編集委員。高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家に。「社畜」という言葉で日本の企業社会の病理を露わにし、会社・経営者批評で一つの分野を築く。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本のについて辛口の評論活動を続ける。著書に『保守の知恵』(岸井成格さんとの共著、毎日新聞社)、『飲水思源 メディアの仕掛人、徳間康快』(金曜日)など。


佐高 信の「一人一話」

歴史は人によってつくられる。ときに説明しがたい人間模様、ふとした人の心の機微が歴史を変える。経済、政治、法律、教育、文化と幅広い分野にわたって、評論活動を続けてきた佐高 信氏が、その交遊録から、歴史を彩った人々の知られざる一面に光をあてる。

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