銀行員からヘッドハンターに転身し、さらに僧侶へ。開成高校出身で慶應義塾大学を卒業し、多彩な職歴を持つ安永雄玄氏は今、築地本願寺で事務方トップの宗務長に抜擢され、首都圏での信徒開拓を主導している。OBパワーとして有力な「開成」「慶應」の二枚看板は、安永氏の人生にどうかかわってきたのか。(「週刊ダイヤモンド」2016年11月19日号特集「最強の高校」より。聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)
開成→慶應→銀行員
ロンドン赴任中に同窓会活動
――多彩な職歴をお持ちです。開成高校を卒業して慶應義塾大学に入り、まず銀行に就職されました。
大学卒業後に三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行すると、すぐに大阪に配属されて8年間いました。
――もともと関西に縁があった?
東京生まれの東京育ちですよ。開成は東京にあるので、関西では比較的マイナーですが、現地に「開成会」(開成OBの親睦組織)はあって、現役のビジネスマンが結構多くいました。ここで出会った他行の先輩は、その後に名古屋で大学教授になって、私が名古屋に転勤したときに名古屋の開成会でいろいろお世話になった。彼をはじめ、何十年も前からの付き合いが今でも続いています。
――銀行員は転勤が多い。
1980年代後半には英国のロンドンへ赴任しました。当時の三和銀行に企業単位の開成会はなかったのだけれど、そのときの支店長がたまたま開成と慶應義塾大学の卒業生で、他にも開成出身の後輩がいて、ロンドンで開成会をやろうと。
ロンドンの地域単位では開成会がすでにあって、現地の三越が中心になって80年代前半に始まったと聞いています。金融機関、ゼネコン、百貨店、現地で有名な教授とか、30~40人はいたかな。80年代は日本人がたくさん駐在しましたから。
――仕事上で開成OBが助けになったことは?