『週刊ダイヤモンド』5月28日号の第1特集は「学閥の王者 慶應三田会」。慶應義塾のOB組織である「三田会」の全貌に迫りました。

 今から14年前の2002年某日。2人の慶應義塾大学卒業生は、ある“会合”で運命の出会いを果たした。

 その2人とは、サントリーホールディングス会長の佐治信忠と、ローソンの社長に就任したばかりの新浪剛史。趣味のゴルフ話で意気投合し、次第に佐治はバイタリティー溢れる新浪のエネルギーに引き込まれていった。

 14年、佐治の粘り強いアプローチが実り、新浪・サントリー社長が誕生した。2人が最初に出会い、この一大人事のきっかけとなった会合は「三田会」なるものだった。慶應卒によるOB会である。

 佐治をよく知るサントリー関係者によれば、「佐治は経団連や同友会などの財界活動には熱心でない」。しかし、母校の慶應に対しては別らしい。慶應義塾の最高決議機関である評議員会の評議員に立候補し、評議員を務めている。

 09年にサントリーがキリンホールディングスと統合交渉した際のきっかけも、当時キリンの社長だった加藤壹康との親交が関係していた。佐治と加藤は慶應の同期。社長として顔を合わせて以降、同窓であることが、2人の距離を縮める一つのきっかけになった。

 そして驚くなかれ、サントリー社長職を引き受けた新浪がローソンの後任に指名した玉塚元一もまた、慶應卒である。

 社内後継人事を見ても、キリンの社長は、前出の加藤、後任の三宅占二、磯崎功典と3代続けて慶應卒だったりと、経済界を見渡せば、慶應卒が圧倒的なパワーを見せつけている。

 本誌の調査によると、慶應卒の上場企業の社長は355人(図版参照、5月10日現在、判明分)で大学別トップ。あくまで卒業年と学部が判明した社長を集計したため、実際の数はもっと多い。東京大学や早稲田大学は200人台なので、慶應の圧勝である。(敬称略)