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今週のキーワード 真壁昭夫

与謝野馨大臣の生き方に見る「政治家の美学」
日本再生への情熱は“剣が峰”を越えられるか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第160回】 2011年1月25日
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日本の財政状況が一段と悪化するなか、
鳴り物入りの新大臣に集中する「鞍替え批判」

 菅内閣の経済財政担当大臣に就任した与謝野馨氏に対して、政界の各方面から批判が集中している。

 その背景には、古巣の自民党を離党して“たちあがれ日本”の立ち上げに参加した同氏が、さらに民主党政権に閣僚として参加するという、所属政党の目まぐるしい「鞍替え」を行なっているためだ。そうした行動を、「節操がない」「何を考えているかわからない」と非難する声は多い。

 一方、政治専門家の一部から、「現在の財政状況を考えると、与謝野氏は多くの批判を覚悟してでも、何か行動を起こさざるを得なかったのではないか」との見方がある。

 もともと与謝野氏は、一貫して財政再建の必要性を主張してきた。その主張からすると、民主党政権下で財政が取り返しのつかないところまで悪化することを、座して見ていることができなかったのかもしれない。

 問題は、与謝野氏が民主党政権の中でどれだけ有効な政策を実行できるかについて、不安が残ることだ。同氏が、自身の政治生命を賭してまで真剣に財政再建に取り組んでも、考え方の異なる閣僚もいる民主党政権の中で、本当に有効な政策を実現ができるかに疑問符がつくのである。

 仮に、同氏が意図した政策運営が実現できないと、国民の期待を裏切ることは避けられない。その場合には、同氏に対する批判は一層高まることだろう。

 そうなると、同氏の思い切った行動の意味が無に帰することも考えられる。その場合には、むしろ国民や党内外の政治家からの批判が高まり、菅政権の存立を危うくする懸念すらある。与謝野氏にとっても管首相にとっても、今回の人事は「大きな賭け」ということになる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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