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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

自国を過大評価する中国の根っこにある
「臥薪嘗胆」の思いとその矛先
――米中首脳会談で見えた日本への教訓

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第40回】 2011年2月4日
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 去る1月18日に中国の胡錦濤主席が米国を訪問した。胡主席はブッシュ政権時代の2006年に訪問したことがあるが、4年9ヶ月ぶりの訪米である。2006年の訪問時に中国側は「国賓」としての訪問(State Visit)を米国側に強く要請したが、米国側はこれを単なる「公式」訪問(Official Visit)として受け入れた。理由は簡単である。胡主席が国民の選挙で選ばれた国の代表ではないからである。このことは中国の面子を著しく傷つけた。

 2008年秋のリーマン危機の発生でアメリカは国力を大きく損なった。アメリカ発の金融危機は西側諸国の経済を大きく揺さぶったが、中国への影響は相対的に軽かった。中国はアメリカの国力がどんどん低下していくと読んだ。中国が大国としての自信を深めだしたのはこの頃からである。

 2009年の1月に米国大統領に就任したオバマ氏は同11月にはじめて中国を訪問した。そのときの中国側の応対は極めて横柄なものだったと言う。オバマ大統領はイランの核開発阻止への共同歩調と、コペンハーゲンで開催予定の地球環境サミットでの共同歩調を要請したが、中国はすべて拒否した。米国は中国のこうした態度に激怒した。米中関係はこの時を機に急速に冷え始める。

 そして2ヶ月後の2010年1月に米国は台湾へ最新鋭兵器の売却を決定する。これに中国は猛反発した。もちろん米国の台湾への武器売却はこれが初めてではない。歴代大統領は対中関係に配慮して任期満了となる直前に行うのが常だった。だがオバマ氏は中国を引き寄せるためにこの切り札を早々に使った。翌2月には、中国が最も嫌うチベットのダライ・ラマとも会見した。

 米国はこのようにして中国の痛いところを次々に突いていったのである。米国が「中国は大国として責任ある当事者」になって欲しいと頻繁に発言するようになったのもこの頃からである。

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安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ


シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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