家計調査データを使った地域別の「食」事情は、広く関心を呼ぶテーマであり、本サイトでも、5月に、「週刊ダイヤモンド特別レポート」として、様々な食品消費の都市ランキング記事が掲載された。
個別の食品を対象とするだけでなく、和菓子と洋菓子といった対になるようなペア食品を取り上げて、両者の消費の地域分布を見てみると、また別の角度から、地域の興味深い「食」事情が浮かび上がる。今回は、ペア食品の事例として、和菓子と洋菓子、牛肉と豚肉、醤油とソースの3つに対して、その地域分布を眺めてみよう。
データのあらわし方としては、2変数の分布パターンをあらわすのに便利な散布図を使用した。散布図は、2変数の相関関係を確かめる目的で作成する場合は、相関図とも呼ぶが、今回は、幅広い目的で使用するので散布図と呼んでおこう。
分析は、まず、散布図では見逃しやすいそれぞれの変数のレンジ(ばらつきの幅)について確認し、次に、各食品の消費額の多い地域を紹介し、最後に、分布や相関のパターンから地域的な「食」事情について読み解く、という順番で行うこととする。
城下町には和菓子が似合い
みなと町には洋菓子が似合う
まず、都道府県庁所在都市(その他政令市を含む)別の年間購入額を和菓子(X軸)と洋菓子(Y軸)についてプロットした散布図を描いてみた。
まず、和菓子と洋菓子のレンジを見ると、両方ともに異例に小さい那覇市を除くと、だいたい、和菓子は1~2万円の範囲にあり、洋菓子は1.5~2.5万円の範囲にあり、ばらつきの幅にはあまり変わりがないが、全体として洋菓子の方がやや消費額が大きくなっている。