分権型政令市を掲げてスタートした新潟市。わずか4年足らずで今度は新潟県と合併構想とは……

 大阪から始まった「都構想」が名古屋を経て、日本海の新潟にまで伝播した。新潟県の泉田裕彦知事と新潟市の篠田昭市長(写真)は1月25日、県と市を合併する「新潟州(都)構想」を発表した。

 県と政令市の二重行政を廃し、行政の効率化を進め、市区町村の権限強化を図りたいという。新潟市を特別区に再編し、東京の区よりも大きな権限を持たせる構想だ。つまり、新潟市は州に吸収されてなくなることを意味する。民主党政権による地域主権改革が足踏みするなか、「地方自治のあり方について新潟から一石を投じたい」(篠田市長)と意気込む。

 各地で「都構想」が相次ぎブームとなっているが、内容や熟度は異なる。大阪都構想は、大阪市や堺市を12程度の特別区に再編分割し、産業政策やインフラ整備を大阪都、住民サービスを特別区が担うというものだ。低迷する地域経済の活性化を狙っており、背景に大阪市との不協和音がある。愛知県知事選と名古屋市長選の直前にぶち上げられた中京都構想は具体性に欠けるが、県と市の司令塔を一つにするというものだ。

 都構想が新潟に飛び火した理由は不明だ。泉田知事と篠田市長が会見で語ったように、新潟では県と市の関係はきわめて良好だ。二重行政の解消や役割分担も、両トップの指導力でできるはず。また篠田市長が「日本は大都市制度がまったく不十分だ」と指摘したが、新潟市が日本海側初の政令市となったのは、2007年4月のこと。周辺13市町村を吸収合併し、鳴り物入りの昇格だ。直後に、県との合併構想では住民も戸惑うはずだ。「ブームに乗って耳目を集めたいだけでは」と冷ややかな目が注がれ始めている。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相川俊英)

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