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岸博幸の政策ウォッチ

トランプの経済政策が絶対にうまくいかない理由

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第47回】 2016年12月9日
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Photo by Keiko Hitomi

   最近、数人の知り合いから「お前はトランプの経済政策への評価をまだ明確に示していないのではないか?」と言われました。言われてみると確かに、テレビなどで断片的に話すことはあるものの、まとめて考えを話したことはなかったので、ここで私の評価を明確にしておこうと思います。結論は簡単、トランプがやろうとしている経済政策は絶対にうまくいきません。

大幅減税は中流階級や
低所得層には届きにくい政策

 トランプが大統領選の過程で示した経済政策の目玉は、財政出動による景気拡大と、反グローバリズムの通商政策による国内雇用の維持・増加となリます。大統領選後、財政出動への期待から米国の株価は上昇し、為替は円安が進んでいますが、私はこの両方の政策とも評価も信頼もしていません。

 まず財政出動について考えてみると、トランプが主張するような大規模な公共事業の増加(インフラ整備に10年間で1兆ドル)と大幅減税(法人税を35%から15%に、個人所得税の最高税率を39.6%から33%に)を大統領就任早々に実行したら、来年の米国の景気はさらに良くなるでしょう。

 しかし、問題も多いと言わざるを得ません。そもそも議会は上下院とも小さな政府を志向する共和党が多数であることを考えると、トランプの言い値どおりの規模の財政出動が実現するかもまだ不確かです。

 それ以上に問題なのは、大幅減税のメリットを主に享受できるのは富裕層だということです。法人税の大幅減税により企業の収益は増加しますが、近年は経営陣の報酬ばかりが大幅に増加していることを考えると、そのメリットは主に富裕層に行くでしょう。また、個人所得税の減税についても、米国のTax Foundationの試算によると、それによって中流階級の税引後所得は0.8%増加するのに対して、所得の上位1%の富裕層の税引後所得は10.2~16%も増加します。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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