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野口悠紀雄 人口減少の経済学

消費税率をどこまで引き上げれば財政は健全化するか
――条件を変えた場合のシミュレーション

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第17回】 2011年2月11日
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 前回、消費税率引き上げが財政赤字をいかに変えるかについてのシミュレーション計算を示した。もちろん、条件を変えれば、結果は異なる。以下では、その検討を行なおう。

 まず最初に、消費税率の引き上げ幅を変えた場合に結果がどうなるかを見よう。

 【図表1】には、2012年度の消費税率を引き上げるものとして、引き上げ幅と2020年度、2030年度の公債依存度の関係を示す(税収、税外収入の伸び率は1%とし、社会保障関係費の伸び率は2%とする)。

 消費税増税を行なわない場合には、2020年度の公債依存度は57.0%、2030年度の公債依存度は62.7%にまで上昇する。2030年度には歳入総額の3分の2近くが国債で賄われるわけであるが、こうした財政運営は、現実には不可能であろう(国債の消化に著しい困難が生じるだろう)。

 税率引き上げ幅が10%の場合、2020年度の公債依存度は30%台に抑えられるが、2030年度の公債依存度は45.1%で、現在とあまり変わらなくなる。つまり、効果は20年程度しかもたないということだ。

 このことから、「常識的な」範囲での消費税増税では、問題を本質的に改善することはできないことが分かる。

 しばしば、「日本の消費税率はヨーロッパの付加価値税率に比べると低いから、増税の余地がある」と言われる。ヨーロッパの付加価値税の税率は20%程度(北欧諸国では25%程度)だから、現在の5%が低いことは間違いない。しかし、だからと言って、「消費税率を引き上げれば日本の財政赤字問題は解決」とは言えないのである。つまり、日本の財政赤字問題は、「常識的な」範囲内の消費税率引き上げでは、解決できない段階にすでになっているのだ。

ユーロ加盟条件を満たすには
消費税率を30%にする必要がある

 では、どこまで引き上げれば十分と言えるだろうか?

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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