ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
田岡俊次の戦略目からウロコ

領土と国力は無関係。国土8割減でも戦後日本は大発展した

田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]
2016年12月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 今日(12月15日)のプーチン露大統領の訪日を前に、日本では一時「北方領土問題での画期的進展があるのでは」との期待感が外務省の一部から流れ、メディアも影響を受けた。

11月19日、APEC首脳会議でペルー・リマを訪問した安倍首相は、プーチン露大統領と約1時間10分にわたる会談を行った  Photo:外務省ホームページ

 だが、11月19日、安倍首相がペルーの首都リマでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の機会にプーチン大統領と会談したところ、領土問題や平和条約の話は進まず、ロシア側は北方領土での共同経済開発を提案した。これはロシアの法制下で行うことになるから、日本側は簡単には同意できない。

 ロシア軍は今年夏から択捉(えとろふ)島に長距離対艦ミサイル「バスチオン(要塞)」(射程約300km)、国後(くなしり)島に短距離対艦ミサイル「バル(舞踏会)」(同130km)の配備を進めて防備を固めていた。

 リマでの会談の3日後の11月22日、ロシアの「インター・ファクス通信」はロシア太平洋艦隊機関紙「ヴォエバヤ・ヴァーフタ(戦闘配置)」の記事を引用する形で新鋭ミサイル配備を伝えた。ロシア軍は両島の返還に反対し、領土を守る決意を示した。

 どの国の民衆も領土問題ではひどく愛国的になり、妥協的な指導者は「弱腰」と罵倒されかねない。プーチン氏らロシア指導層は、領土問題を片付けて日本と平和条約を締結する方が国益、と分かっていても硬い姿勢を示さざるをえないのだろう。

 日本はロシアだけでなく、韓国とは竹島問題、中国とは尖閣問題で対立している。韓国メディアは「独島(竹島)死守」を唱え、日中のメディアは「尖閣(釣魚台島)防衛」を説く。「善隣友好」は経済上重要であるだけでなく、安全保障の要諦はなるべく敵を減らし、味方を増やすことであることは明らかだが、「テリトリー争い」は生物の本能だけにその解消は容易ではない。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]

1941年、京都市生まれ。64年早稲田大学政経学部卒、朝日新聞社入社。68年から防衛庁担当、米ジョージタウン大戦略国際問題研究所主任研究員、同大学講師、編集委員(防衛担当)、ストックホルム国際平和問題研究所客員研究員、AERA副編集長、編集委員、筑波大学客員教授などを歴任。動画サイト「デモクラTV」レギュラーコメンテーター。『Superpowers at Sea』(オクスフォード大・出版局)、『日本を囲む軍事力の構図』(中経出版)、『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』など著書多数。


田岡俊次の戦略目からウロコ

中国を始めとする新興国の台頭によって、世界の軍事・安全保障の枠組みは不安定な時期に入っている。日本を代表する軍事ジャーナリストの田岡氏が、独自の視点で、世に流布されている軍事・安全保障の常識を覆す。さらに、ビジネスにも役立つ戦略的思考法にも言及する。

「田岡俊次の戦略目からウロコ」

⇒バックナンバー一覧