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安東泰志の真・金融立国論

国債集中投資の愚――国民の資産はなぜ分散投資されなければならないのか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第5回】 2011年2月18日
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 民主党政権が発足した後、公的年金の運用方針について、長妻厚生労働大臣と原口総務大臣(いずれも当時)の間で大きな主張の隔たりがあったことは記憶に新しい。長妻氏は国債中心の超保守的な運用を主張したのに対し、原口氏は、寧ろ運用先を多様化し、新興国など海外を含む成長分野への投資を入れるよう主張していたのである。公的年金は国民の金融資産の代表的な受け皿であり、現在も127兆円もの残高を持つ。公的年金を一つの例にしながら、国民の資産の運用のあり方を考えてみたい。

「国債100%」の運用は本当に保守的なのか?

 長妻氏は、「公的年金の積立金は国民から運用していいと言われて預かったものではない」として、国債100%で運用している米国のSocial Securityに倣って「保守的」に運用する方針を明確にしていた。しかし、そもそも「国債100%」の運用というのは本当に保守的なのだろうか?以下に簡単な例で検証してみたい。

 下の表1は、現在公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がその前提とする「国内債券」・「国内株式」のリスク(標準偏差)・リターン(期待収益率)プロフィールと、海外PE(プライベート・エクイティ)のデータを用いて推定した「国内PE」のリスク・リターンプロフィールを並べたものである。

 様々な制約の中での推定値なので、このリスク・リターンプロフィールが絶対正しいと言い切れるわけではないが、その「傾向値」が正しいことは合理的に推測され、結論も変わらないと思われることから、ここではそれを用いることとする。

【表1】
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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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