83歳の誕生日に皇室一般参賀にお出ましした天皇陛下 Photo:Pasya/AFLO

天皇陛下が何をなさっているかは、断片的にしか理解していない人が多いのではないだろうか。天皇陛下の1年を知ると、とてつもない仕事の量に驚かされる。(週刊ダイヤモンド2016年9月17日号特集「日本人なら知っておきたい皇室」より)

 多くの日本人は学校の授業で、「天皇」は13項目の国事行為「のみ」を行うと教えられる。しかも、国事行為には「国会の召集」や「首相の任命」といった、めったに行われないものが含まれている。

 そのため、今回の天皇陛下の「お気持ち」の発表を受け、“それほど大変だったのか”と思った人も多いようだ。

 しかし、今回の「お気持ち」の中に、「体力の低下を覚えるようになった」ころから、もし「従来のように重い務めを果たすことが困難になった」場合、どのように対応することがよいか考え始めた、との趣旨の表現がある。「重い務め」が責任だけでなく、体力面も指していることは明らかだ。

 実は、陛下は被災地への慰問、歌会始や園遊会、植樹祭への出席など、国事行為に含まれない数多くの“お仕事”(一般公務)をされている。しかもそれが国事行為の何倍の数もあるのだ。

 政府は天皇について、憲法の条文から「国事行為を行う『天皇』という地位」と「(○○を行う)『象徴』という地位」の二つの地位があるとしており、その○○に当たるのが前記のさまざまな一般公務(政府は「公的行為」と呼んでいる)だ。

 この公的行為とは何か。例えば国民体育大会(国体)の開会式の際、国の象徴の一つである国旗を掲揚するのと同様に、憲法で国の象徴と定める天皇に出席していただくようなことだ。