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【あおぞら銀行】
調達コスト低下で筋肉質に変貌でも
高リスク低収益構造から抜け出せず

週刊ダイヤモンド編集部
【第20回】 2011年3月1日
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株式市場であおぞら銀行の評価が高まっている。金融危機の後から取り組んできた変革プログラムが成果を出しているからだ。しかし課題も山積で、単独で生き残る道のりも平坦ではなさそうだ。

 「この2年で何が変わったのかを見てほしい」──。

 2010年11月、10年度の中間決算を発表したあおぞら銀行のブライアン・F・プリンス社長は、居並ぶ投資家たちを前にして自信たっぷりに語った。

 リーマンショック直後の08年度決算で2400億円超に上る巨額の最終赤字に転落してからというもの、あおぞら銀はバランスシートの抜本的な改革を推し進め、147億円の中間最終黒字にまで業績を回復させていたからだ。

 一時は60円台まで付けた株価も、業績の回復を好感して11年1月末時点で181円まで上昇。銀行業界のなかでも上昇幅は際立っている(図(1))。

 あおぞら銀が取り組んだ改革のなかで、大きな成果を収めたのは、資金の調達構造を変化させたことだ。あおぞら銀の前身は日本債券信用銀行(日債銀)だったため、それまで資金調達の半分近くを市場での金融債発行に頼っていた。それを個人預金による調達へと大きく舵を切ったのだ。

 というのもリーマンショック直後、市場は完全にマヒ状態、あおぞら銀自身の信用不安も重なったことで金融債を発行できず、危うく資金繰りが詰まりかけた。このときの教訓を生かし、調達基盤の多様化を図ったというわけだ。

 これは、結果的に調達コストの引き下げ効果を生んだ。高金利を謳い文句に定期預金をかき集めたのだが、それでも市場から集めるよりも明らかに低コスト。市場の正常化に伴って、金融債も低金利で発行できるようになり、資金の調達コストは08年3月末からの2年半で、69ベーシスポイントも低下している(図(2))。

 加えて、手元にあった流動性資産も積極的に運用。09年3月末には約1兆2000億円も抱えていたが、10年9月末には6500億円近くまで、ほぼ半減させて運用に回している。

 とはいえ、決して喜んでばかりもいられない。図(3)は08年度第3四半期から、直近の10年度第3四半期の業績回復が、何によってもたらされたのかを要因分解したものだ。

 これを見ると、経費を差し引く前の本業の利益を示すコア業務粗利益は、なんとリーマンショック直後の最悪期よりも低いことがわかる。業績回復を支えたのは市場要因と、経費や与信費用などのコスト低下であり、トップラインは低迷したままなのだ。

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