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フェイスブックやツイッターだけじゃない!
中東・北アフリカ騒乱で体制側を追い込んだ
覆面ハッカー集団「アノニマス」の正体

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第136回】 2011年3月2日
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 反政府運動を阻止しようと、エジプト政府が国内でのツイッターやフェイスブックへのアクセスを遮断した1月26日、国境なきハッカー集団のアノニマス(Anonymous、「匿名」という意味)は、エジプト政府への攻撃準備を始めていた。

 ツイッターなどは数日後に復旧したものの、エジプト政府と内務省、通信・情報技術省のサイトはDDoS攻撃(標的サイトに大量のデータを送信し機能を停止させる「分散型サービス拒否攻撃」)にさらされて利用不可能な状態に陥った。アノニマスは、「われわれは、言論の自由を脅かす検閲行為には容赦しない」とサイトに宣言を残した。

 アノニマスの名前が広く知られるようになったのは、昨年、同集団がウィキリークスを後方支援するために行った「オペレーション・ペイバック」によってである。

 昨秋、アメリカ国務省の外交公電を多数暴露したウィキリークスとの関わりを断つために、マスターカード、ビザ、ペイパル、アマゾンなどがウィキリークスの寄付金集めやサーバ利用のサービスを中止した。その処置に怒ったアノニマスは、復讐のためにやはりこれらのサイトにDDoS攻撃を仕掛け、いくつかのサイトをダウンさせた。これは、謎の集団アノニマスの組織力と行動力を示す出来事となった。

 では、アノニマスとは何者なのか。じつは、もともとは4chanという英語圏の掲示板サイトのメンバーが中心となって組織化されたといわれている。4chanは、日本の2チャンネルを模倣してつくられたサイトで、マンガ、アニメといったスレッドでメンバーがおしゃべりしているような場所だ。

 アノニマスも最初は愉快犯的なハッカー行為を行う集まりだったが、オペレーション・ペイバックあたりからメキメキと使命感を帯び始めた。

 インターネットの自由を脅かす組織や、人権を擁護しない国家や組織に対してサイバー攻撃をする。ハッカーとしての知能を最大限に利用して、これまでにない方法で戦う「正義の味方」という立ち位置だ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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