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人や車が動くときの“振動”さえもムダにしない! 子ども時代の理科実験が生んだ「発電する床」

――「振動力発電」で起こすエネルギー革命(株式会社音力発電)

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第10回】 2009年4月1日
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 私が子供の頃(ほんの30年前くらいの話です)は、テレビを持ち歩いて見たり、歩きながら電話をしたり・・・そんな未来を誰もが想像していたのではないでしょうか?

 今では、携帯電話の技術開発が進んで、先日のWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)の日本勝利の瞬間をワンセグ携帯でご覧になられた方も多かったと思います。

 「30年前に想像していた世界が今、目の前にある」という事実をあらためて考えてみると、「技術の進歩って凄いもんだよなぁ」と感動してしまいます。でも、生まれた時から携帯電話があった、今の子供たちには、この感動はわからないかも知れませんね。

人生に大きな影響を与えた
小学校時代の「理科の実験」

 皆さんは、小学校時代、理科の授業で「モーターをまわして発電し、その電気を使ってスピーカーから音を出す」という実験をしたことを覚えていますか?この実験では、「モーターの回転→発電→スピーカーから音」という流れを学びました。おそらく、ほとんどの人にとっては小学校時代の数ある実験の中のひとつ、といった程度の記憶しかないかも知れません。

 でも、ある少年にとってこの実験は、その後の人生に大きな影響を与える実験になったのです。この少年はこの実験以来、「電気で音が出るのなら、音で電気がつくれるはずだ」という確信を抱き成長していきます。中学、高校に進学後も、ことあるごとに思い出しては、百科事典や図書館で「音で発電する」方法を調べ続けたのです。

 速水浩平さんは、慶応義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)に進学後、ついに少年時代から思い描いていた「音で発電する」研究を本格的に始めます。そして、同大学院の修士2年の時に、株式会社音力発電(*1)を立ち上げました。大学のインフラを活用し、産業界との連携を図る、いわゆる大学発ベンチャーです。

 まず速水さんが取り組んだのは、「音とは、空気を伝わる振動である」という原点に立ち返り、振動する力を使って電気をつくりだす技術についての研究でした。そして、研究を進めるなかで、速水さんは、【圧電素子】という素材に着目します。

 【圧電素子】とは、ライターやガス器具などの着火装置に使われている素材で、力を加えると少しだけ変形し、電気を生み出すという性質をもっています。速水さんは、「音による発電」をこの素材で実現しようと考えました。そこでまず取り組んだことは、「効率的に電気をつくり出すためには、どのようにして圧電素子を変形させればよいか」ということでした。

“発電する床”を実用化
JR改札と首都高速にも

【写真1】発電床(R)を踏むと、LEDライトが点滅
(C)株式会社音力発電

 試行錯誤の末に辿り着いた結論は、「圧電素子を、足で踏んで変形させる」という極めてシンプルなものでした。こうして開発された「発電床(R) 」のプロトタイプですが、実は私は、速水さんと初めてお会いした2006年の初めに拝見しており、当時のことは、鮮明に覚えています。

 速水さんが、おもむろに鞄の中からパソコンくらいのサイズの板と、そこに配線されたLEDライトを1つ、とりだしました。そして、板の上で足踏みをすると・・・確かに配線されたLEDライトが1つ、“ぽっ”と光ったことが印象に残っています【写真1】。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


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